The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
マフィアである彼に説教されるというのは、何だか不思議な感覚だ。

「どうしても行くと言うなら、そこの執事さんを影武者として行かせるべきです」

ルレイア殿が言い、ユーレイリーも強く頷いた。

「…死ぬかもしれないんだぞ、ユーレイリー」

「覚悟は出来ています。私の犠牲で、坊っちゃんが革命を果たされるなら…本望というものです」

…ユーレイリー。

お前はいつもそうだな。俺の為なら、命も惜しまないって言う。

ユーレイリーに頼めば、彼は喜んで俺の影武者として、箱庭帝国に行ってくれるだろう。

例え殺されると分かっていても。

俺の代わりに、俺の為に殺されてくれるだろう。

だから俺はリーダーとして、非情な決断を下さなければならないのかもしれない。

…そんなことが出来れば、の話だが。

「坊っちゃん、どうか私を行かせてください。あなたがここで死ぬ訳には…」

「…ユーレイリー、頼みがある。…お前にしか頼めないことだ」

「…はい」

俺は、まっすぐにユーレイリーの目を見た。

ユーレイリーの目は、死地に向かう覚悟を決めた人間のそれだった。

彼は主君の為に、喜んで命を差し出そうとしている。

だが、残念ながら…俺には、そんなことはさせられないのだ。

だから、ルレイア殿に「甘い」と言われるのだろう。

それでも。

その甘さこそが、きっと国を変えるのだ。

俺は、そう信じている。

「…俺に何かあったら、セトナ様を支えて、革命をやり遂げて欲しい」

「…！坊っちゃん！」

…ごめん、ユーレイリー。

やっぱり俺は、自分の命の為に、他の命を犠牲にするなんて器用なことは、出来ないみたいなんだ。
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