The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルレイア

──────…ルアリスの、この顔を見ていたら。

まぁ、そう言うんだろうなと思っていたが。

…本当に言いやがった、この馬鹿。

もう駄目だな。この男は。

むしろ尊敬すらする。見上げた根性だよ。

一体何処で、そんな正義心を育てたんだか。

俺に言わせれば、正義心と言うよりは…ただ自分に酔ってるだけだと思うが。

そこまで徹底して自己陶酔したいのなら、すれば良い。

俺がこれほど優しく諭してやったというのに、全く聞く耳を持っていない。

自分に酔って、自惚れて、それで死んでも満足だと言うのなら。

好きにしてくれ。ここから先は、俺の預かり知るところではない。

「いけません、坊っちゃん…!あなたがいなくなったら、『青薔薇解放戦線』は…」

「セトナ様がいる。ユーレイリーも、ラシュナもヴァルタもミルミルも、ヴィニアスもいる。他にもたくさんの頼れる仲間達がいる。大丈夫だ」

自分がいなくなった後のことは、他力本願かよ。

本当に見上げた根性だな。

「それに俺は、みすみす死ぬつもりはないよ。大丈夫、きっと帰ってくるから」

「…坊っちゃん…」

全力で死亡フラグを立てている辺り、まず無理だな。

ここまでフラグを立てて死ななかったら、逆におかしいだろう。

「ルレイア殿も…もう止めないで下さいますね」

「えぇ、もう止めませんよ。あなたが底無しの愚か者だということが分かったので」

って言うか、言葉が通じないことが分かった。

こういう人種は、もう駄目だ。

他人が何と言おうと、自分の信じるようにやらなければ気が済まないのだ。

だったら、もう好きにさせるしかない。

どれだけ懇切丁寧に手取り足取り教えたって、猿に人語は喋れない。

それと同じ。この愚か者には、言葉が通じない。

俺は止めた。俺は出来る限りの誠意を持って、ルアリスを止めようとした。

でも止まらなかった。それだけの話だ。

それでルアリスがどんな目に遭おうと、俺の知ったことではない。

「俺は出来るだけのことは言いました。それでも聞く気がないのなら…どうぞ、勝手に死んでください。俺は俺で、勝手に復讐を果たさせて頂きます」

そもそも俺の目的は、ルアリスの革命ではない。

ルルシーを傷つけやがった糞野郎共を、ぶっ潰してやりたいだけ。

ルアリスが生きていようと死んでいようと、俺のやるべきことは変わらない。

だから後のことはどうぞ、勝手にしてくれ。

「それで結構です。…ありがとうございます、ルレイアさん」

「あなたほどの馬鹿は見たことがありませんよ」

俺の人生において、ルアリス以上の馬鹿は今までに見たことがない。

文句なく断トツ首位を独走する馬鹿。ルアリス。

あのアシベルすら凌駕するレベルだ。良かったなアシベル。お前以上の馬鹿、ここにいたぞ。

「では、ご冥福をお祈りします」

「…まだ死んでませんよ」

「これから死ぬんでしょう?死んだら伝えられないですからね」

「きっと戻ってきますよ。俺は」

幽霊になって戻ってこられても困るんだけどな。

家、お札でも貼っておこう。
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