The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
その後、俺はフューニャと一緒に、ケーキを食べた。

予約限定生産なだけあって、物凄く美味しかった。

これ食べたら、もう近所のケーキ屋じゃ買えないな。

フューニャも大層満足したようで、嬉しそうに食べていた。

ご満悦のようだ。良かった。

更にその後、俺はフューニャに、指輪のカタログを見せた。

「あのな、フューニャ…。これ、見て欲しいんだ」

「何ですか?」

フューニャはてこてこ寄ってきて、カタログを覗き込んだ。

「指輪…?」

「そう。結婚指輪…。俺達、指輪は買ってなかっただろ?だから…そろそろ」

「…」

思ってもみなかったという風に、フューニャはぽかんとしていた。

その顔も可愛い。

「どれが良いか、聞こうと思って…。どの店にする?色んな店でカタログもらったんだが…。婚約指輪を買ってないから、そのぶん結婚指輪は良いものにしよう」

「…」

…あれ?フューニャが無言。

もしかして…フューニャ、指輪は興味ない…?

…と、思ったが。

「…指輪…買ってくれるんですか」

「え?うん…。もしかして、要らなかった?」

ふるふる、と首を横に振るフューニャ。

欲しいみたいだ。

「じゃあ買おう。このブランドが良いとかあるか?」

ふるふる、と首を振るフューニャ。

ブランドにこだわりはなし…か。

「どんなのが良い?ほら、カタログあるから。これを見て」

フューニャはひょこ、とカタログを覗き込んだ。

「…お金を出すのはルヴィアさんなんだから、ルヴィアさんが選ぶのが筋なんじゃないですか?」

「俺?いや、俺は何でも良いよ。フューニャが選ぶべきだろ。こういうのは女性の意見が尊重されるもんだ」

って、ルレイアさん言ってたし。

俺もそう思う。

「強いて言うなら…普段つけるものだから、あんまり大きな石がついたものとか、あんまり派手なものはちょっと困る」

その場合、フューニャの方は派手で、俺の方はシンプルなもの、という風に分けるのも手だが。

ん?でもそれだとペアリングの意味がない?

しかし、幸いなことにフューニャは。

「私も派手なものは好みませんから、あまり飾り気のないデザインが良いです」

とのこと。

「そうだな、フューニャ…。色はどうする?定番はプラチナだけど…。ゴールドとか」

「プラチナが良いです」

フューニャは割と、定番どころが好みらしいな。

まぁ、あまり奇をてらうのもな。

一生つけるものだし。

「じゃ、いくつかショップをピックアップしておいて…。俺が今度休みのときにでも、一緒に見に行こう。それで良いか?」

フューニャはこくり、と頷いた。

それからというもの、フューニャは暇さえあればカタログを嬉しそうにぺらぺら捲っていた。

喜んでくれているようで、良かった。

次の休みが待ち遠しかった。










…しかし。

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