The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルアリス

─────…あの後、俺とユーレイリーはセトナ様にこのことを話しに行った。

俺は行くつもりだと言うと、意外にもセトナ様は止めなかった。

ただ、全てを分かっているという風に頷いた。

「…止めないのですか、セトナ様」

「…止めて止まってくださるのなら、いくらでも止めます…。でも…言っても…きっと考えを変える気はないのでしょう?」

「…」

…さすがは、セトナ様だ。

よく分かっている。

「ならば、あなたのおっしゃるようにします…。私では、あなたの代わりにはなれません。だから…必ず、戻ってきてください」

「セトナ様…」

「あなたの無事を祈っています」

セトナ様の声は震えていた。

泣き出しそうになるのを、必死に我慢しているようにも見えた。

セトナ様の後に、ラシュナやヴァルタ達にも話した。

皆俺を止めた。でも、話し合って…じっくりと話し合って、説得して…最後には、納得してくれた。

納得したと言うよりは…そこまで言うなら、思うようにすれば良い、って感じだったが。

それから、俺は次に…帝国騎士団のルーシッド殿のところに、話しに行った。

俺が帰国すると言うと、ルーシッド殿は酷く驚いた。

「…本気ですか」

信じられないものでも見るような目で、ルーシッド殿はそう聞いた。

…自殺願望があると思われてるんだろうな。ルレイア殿と同じように。

「えぇ…本気です」

「やめた方が良い…これは罠です」

「…そうかもしれませんね」

と言うか、罠だろう。

これほど分かりやすい罠もない。

「でも、俺は行きます。…もう決めたんです」

「…ルアリス殿…」

「俺にもしものことがあったら、ルーシッド殿、どうか『青薔薇解放戦線』を頼みます」

ルーシッド殿に頼むのは、お門違いなのだろうが。

しかし。

「…俺に出来ることなら、何でも協力するつもりです」

ルーシッド殿は、そう言ってくれた。

…有り難いことだ。

「…あなたが決めたことなら、俺は止めません…。でも、行くなら一つ助言をさせてください」

「何ですか?」

助言?

「条件をつけるべきです。もしあなたや、人質の身に何かあったら…武力行使も辞さないと。それに、憲兵局があなたを騙して殺すようなことがあれば…帝国騎士団も黙ってはいませんから。そのときは…俺が代表して、国際世論に訴えます」

「…!」

それは…そんなことになれば。

ルティス帝国の帝国騎士団が国際世論に憲兵局の蛮行を訴えれば、憲兵局は今より更に立場が悪くなるだろう。

憲兵局にとっても…かなりの痛手になるはず。

憲兵局に対する抑止力としては、非常に有効だ。

「ありがとうございます、ルーシッド殿」

ルーシッド殿には、頭が上がらない。

やはり帝国騎士団に助力を乞うたのは、間違いではなかった。

「『青薔薇解放戦線』はあなたの組織です。あなたがリーダーであらなければなりません…。だから帰ってきてください。必ず」

「…そのつもりです、ルーシッド殿。俺も…黙って殺されるつもりはありませんから」

平和になった祖国を、この目で見ないことには…死んでも死にきれない。

何があっても…生きて、仲間達のもとに帰ってこなくては。
< 261 / 791 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop