The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideレヴミール

──────…憲兵局本部、会議室にて。




「どうやら、『青薔薇解放戦線』のリーダーはのこのこやってくるらしいぞ」

この度の計画を考えた古参局員が、葉巻を吹かせながらにやりとした。

自分の計画が順調に運んでいるのが、嬉しくて堪らないらしい。

「エーレンフェルトの息子というのも、やはりただのガキだな。こんな手にかかるとは…」

平和的交渉を呼び掛けて、『青薔薇解放戦線』のリーダーを誘き出す。

その上で、やって来たリーダーを捕らえる。

こんな小学生でも思い付きそうなお粗末な作戦を、本当に実行に移すのもどうかと思うが。

それ以上に、あっさりと引っ掛かったエーレンフェルトの息子の方に呆れる。

それとも、何か腹があるのだろうか。

可能性は低くない。何と言っても、『青薔薇解放戦線』にはあの男がついているのだから…。

「…それで?革命軍のリーダーをどうするつもりなのです」

私は、古参局員にそう尋ねた。

すると彼は、驚いたような顔をした。

何を当たり前のことを、と言わんばかりに。

「当然、拷問して、公開処刑にする。憲兵局に楯突く者がどうなるのか、分からせてやれば良い。勿論…人質も同様にな」

「…」

…憲兵局局員の、この腐りきった思考。

この男達は、何処まで堕落すれば気が済むのだ。

「…そんなことをすれば、憲兵局は今以上に国際世論から非難されます」

今回の革命に帝国騎士団が絡んでいることは、皆知っているはず。

革命軍のリーダーを騙して誘き寄せ、処刑したとなれば…憲兵局への批判はかつてないほどに高まる。

考えるまでもないことだ。

それなのに。

「よその国が何と言おうと知ったことか」

「…」

吐き捨てるように言った言葉は、あくまで自分の保身のことしか考えていない人間の言葉だった。

世論から批判され、煽りを受けるのは国民だというのに。

国民のことなんて、何一つ考えてはいない。

これが、国のトップの言葉か。

あの男でさえ、一応自分の組織のことを考えていたというのに。

こいつらはそれ以下なのだから、最早救いようがない。

しかし…今回の作戦は、私にとってはとても有り難いものだった。

私はかねてより、革命軍のリーダーに会いたいと思っていた。

彼が自らこちらに来てくれるのなら、都合が良い。

願わくば、話の通じる人間であって欲しいものだが…。

「まずは尋問をして、革命軍の情報を聞き出さなくてはな」

「革命軍のリーダーの尋問ですが…自分に任せてもらえませんか」

私は敢えて、自分からそう申し出た。

「貴殿が?」

「えぇ。始めから拷問するよりは、平和交渉の振りをして聞き出した方が良いでしょう」

「確かにな。若い者の方が警戒されまい。では尋問は貴殿に頼もう」

「お任せください」

これで、私は革命軍のリーダーにまみえることが出来る。
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