The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
俺は一言も喋らせてもらえないまま、拘束され、そのまま移送された。
目隠しをされていたから、何処に連れていかれているのかは分からなかったが…まず間違いなく、憲兵局本部のある帝都だろう。
公開処刑も、帝都で行われるんだろうな。
俺はどんな殺され方をするのだろう。きっと一番残酷な方法だろう。
自分が殺されるところを想像してみたが、やっぱり現実味がなくて、怖いとは思わなかった。
それより、自分が死んだ後のことの方が心配で。
ユーレイリーやセトナ様がどんなに心配しているかと思うと、彼らに申し訳なかった。
そして。
箱庭帝国に戻ってきてからどれくらい時間がたったのか。ようやく目隠しを外されたとき、俺がいたのは…暗い、コンクリートに囲まれた地下室だった。
両手両足を枷で拘束されていた俺は、視線だけをさまよわせて、ゆっくりと周囲を見渡した。
地下室の中には、使い方もよく分からないような拷問具が並んでいた。
ここに閉じ込められる囚人の恐怖を煽るかのように、どの拷問具にも黒々とした血の染みがべったりとついていた。
俺は元憲兵局参謀長官の息子だ。未来の憲兵局員になるべくして育てられた俺は、幼い頃から訓練して、薬物耐性がついている。
つまり、自白剤の類はほとんど効き目がないのだ。
自白剤が聞かない相手に、情報を吐かせよう思ったら、どうするか。
…そりゃ、拷問するしかないよなぁ。
きっと憲兵局の拷問フルコースを受ける羽目になるだろう。
あの拷問具なんて、一見したら子供の玩具のようにしか見えないが、一体どうやって使うんだろう。
なんて、我ながら呑気なことを考えていた。
すると。
地下室の重厚な扉が開き、中に誰かが入ってきた。
俺を拷問する獄吏がやって来たのだ。
入ってきた人数は三人。一人は憲兵局上級職員の制服を着ていて、あとの二人は一般職員の制服だった。
ということは、あの二人が俺を拷問する拷問官だろう。
俺は目の前に立った上級職員を、真正面からじっと見つめた。
俺が言うのもなんだが、とても若い職員だ。
俺とそんなに変わらないじゃないか。
恐らく…俺と同じように、父親が早くに亡くなったのだろう。
そして、父親の後を継いで、息子が憲兵局員に就任した。
俺も…こうなるはずだったんだけどな。
俺は道を違えてしまった。そのことを後悔はしないが。
「『青薔薇解放戦線』のリーダー、ルアリス・ドール・エーレンフェルトだな」
上級職員が俺にそう聞いた。
「…そうだ。和平の交渉にしては…随分と乱暴だな」
「…」
俺の皮肉を相手にせず、横にいた一般職員の一人が、手に鞭を持って歩み出た。
「同志レヴミール、まずは我々が…」
少し大人しくさせてやる、と言わんばかりではないか。
この上級職員、レヴミールという名前なのか。
聞いたことがある。父の同僚にそんな男がいた。
じゃあこの男は、その息子なのか。
「いや…良い。俺がやる。お前達は先に戻れ」
てっきり、やれ、と言うものだと思っていたのに。
レヴミールは意外にも、部下を下がらせた。
これには俺だけでなく、拷問官も驚いたようで。
「しかし…拷問は我々の仕事です。同志レヴミールがお手を汚すことは…」
するとレヴミールは、拷問官をじろり、と睨んだ。
一般職員にとって、上級職員の言うことは絶対。
逆らうなんて恐ろしいこと、出来るはずがない。
「はっ!失礼致しました」
二人はすぐに引き下がり、地下室を出ていった。
目隠しをされていたから、何処に連れていかれているのかは分からなかったが…まず間違いなく、憲兵局本部のある帝都だろう。
公開処刑も、帝都で行われるんだろうな。
俺はどんな殺され方をするのだろう。きっと一番残酷な方法だろう。
自分が殺されるところを想像してみたが、やっぱり現実味がなくて、怖いとは思わなかった。
それより、自分が死んだ後のことの方が心配で。
ユーレイリーやセトナ様がどんなに心配しているかと思うと、彼らに申し訳なかった。
そして。
箱庭帝国に戻ってきてからどれくらい時間がたったのか。ようやく目隠しを外されたとき、俺がいたのは…暗い、コンクリートに囲まれた地下室だった。
両手両足を枷で拘束されていた俺は、視線だけをさまよわせて、ゆっくりと周囲を見渡した。
地下室の中には、使い方もよく分からないような拷問具が並んでいた。
ここに閉じ込められる囚人の恐怖を煽るかのように、どの拷問具にも黒々とした血の染みがべったりとついていた。
俺は元憲兵局参謀長官の息子だ。未来の憲兵局員になるべくして育てられた俺は、幼い頃から訓練して、薬物耐性がついている。
つまり、自白剤の類はほとんど効き目がないのだ。
自白剤が聞かない相手に、情報を吐かせよう思ったら、どうするか。
…そりゃ、拷問するしかないよなぁ。
きっと憲兵局の拷問フルコースを受ける羽目になるだろう。
あの拷問具なんて、一見したら子供の玩具のようにしか見えないが、一体どうやって使うんだろう。
なんて、我ながら呑気なことを考えていた。
すると。
地下室の重厚な扉が開き、中に誰かが入ってきた。
俺を拷問する獄吏がやって来たのだ。
入ってきた人数は三人。一人は憲兵局上級職員の制服を着ていて、あとの二人は一般職員の制服だった。
ということは、あの二人が俺を拷問する拷問官だろう。
俺は目の前に立った上級職員を、真正面からじっと見つめた。
俺が言うのもなんだが、とても若い職員だ。
俺とそんなに変わらないじゃないか。
恐らく…俺と同じように、父親が早くに亡くなったのだろう。
そして、父親の後を継いで、息子が憲兵局員に就任した。
俺も…こうなるはずだったんだけどな。
俺は道を違えてしまった。そのことを後悔はしないが。
「『青薔薇解放戦線』のリーダー、ルアリス・ドール・エーレンフェルトだな」
上級職員が俺にそう聞いた。
「…そうだ。和平の交渉にしては…随分と乱暴だな」
「…」
俺の皮肉を相手にせず、横にいた一般職員の一人が、手に鞭を持って歩み出た。
「同志レヴミール、まずは我々が…」
少し大人しくさせてやる、と言わんばかりではないか。
この上級職員、レヴミールという名前なのか。
聞いたことがある。父の同僚にそんな男がいた。
じゃあこの男は、その息子なのか。
「いや…良い。俺がやる。お前達は先に戻れ」
てっきり、やれ、と言うものだと思っていたのに。
レヴミールは意外にも、部下を下がらせた。
これには俺だけでなく、拷問官も驚いたようで。
「しかし…拷問は我々の仕事です。同志レヴミールがお手を汚すことは…」
するとレヴミールは、拷問官をじろり、と睨んだ。
一般職員にとって、上級職員の言うことは絶対。
逆らうなんて恐ろしいこと、出来るはずがない。
「はっ!失礼致しました」
二人はすぐに引き下がり、地下室を出ていった。