The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
ランドエルス騎士官学校の元学友達がどうなったのか、ルレイアは知っているのだろうか。

元々他人に興味のない男だ。奴は知らないのだろうが…私は知っている。調べたから。

ルナニア・ファーシュバルこと、ルレイア・ティシェリーに関わった人間の末路が、どんなに悲惨なものだったか。

ルナニアの親友だったエルスキー・ミルヴァーレンは、あの後ランドエルス騎士官学校を離れ、騎士官学校ではない普通の高校に転校した。

優秀な学生だったのに…帝国騎士の道を諦めたのだ。

アシベル・ウィシナー・カルトヴェリアは、ランドエルスに残ったものの…楽天的だった性格は、人が変わったように暗くなったそうだ。

彼も結局、卒業後は帝国騎士の道には進まず…貴族の実家で、世間体を気にしながら、ひっそりと隠れるように暮らしているようだ。

ミューリア・エルレアスはもっと悲惨だ。

片手を失った彼女は、あれ以来精神を病み、家に引き込もって出てこられなくなっている。

あんなに明るかったのに、今では外に出ることさえ出来なくなったのだ。

その他にも、ティモニー・ファルム・グラディウスを始め、ルナニアのせいで少なからず心身的なショックを受けた者は多くいる。

そのことを…あいつは、分かっているのだろうか。

…ルアリスの言う通り、あいつは何も考えてはいないのだろうな。

私が生きていることも知らなければ、そもそも私のことなんて、存在も忘れているのではないか。

だから私は、ルアリスに口止めを頼んだ。

私のことは、ルレイアには言わないでくれ、と。

私が生きていることなんて、ルレイアに知られたくなかった。

今は、まだ。

ルアリスも了承してくれた。これで…ルレイアに私の生存がばれることはあるまい。

…それにしても、ルアリス…か。

現実に足がつかない、夢のような正義をただ滔々と語るだけの男かと思ったら…。

私は元々、革命軍に協力するつもりなんてなかった。

私は私のやり方で、祖国を変えるつもりだった。

でも今は、危険を冒してでも…彼の革命に協力しようと思っていた。

心変わりの理由は、自分でも分かっていた。

私は、亡くなったかつての恋人に…ルアリスの姿を重ねたのだ。

「…ルーザ…」

見ていてね。

私は必ず…今度こそ、祖国を救ってみせるから。

そして…私を生かしてくれた、総帥に報いる為にも。

彼がどうして、私の為に居場所を残してくれたのかは…今でも分からないけれど…。





< 274 / 791 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop