The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
そんな、エロい舌遣いでキャンディ舐めながら。

気づいたのは、今なんですか。

せめて今、飴を舐めるのはやめてくれないだろうか。

「えぇ…まぁ、お陰様で…」

「へぇ~。幽霊じゃないんですか?生きてるんですか?」

ルレイア殿は、俺が幽霊かどうか確認する為だろう、俺の足首辺りをげしっ、と軽く蹴っ飛ばした。

乱暴。

「おっ、ちゃんとある…。幽霊じゃなかったんですか。なぁんだ」

何でちょっと残念そうなの?

幽霊になってれば良かったのに、って?酷い。

「生きてたんですってー、ねールルシー」

「そうだな…。良かったな、無事で。よく生きてたことだ」

「はい…ありがとうございます」

ルルシー殿の方が、まだルレイア殿より感動がある。

すると。

「こいつ誰?」

ルレイア殿よりもっと酷い人がいた。

アイズ殿の背中に隠れた、アリューシャ殿であった。

「ルアリスだよ、アリューシャ…。『青薔薇解放戦線』のリーダーの」

「ルアリス…?あぁ、思い出した!ルア公か。え?でもルア公は自分の国に帰って処刑されたんじゃなかったの?何でここで飴舐めてんの?」

勝手に死んだことにされてる。

「私もそうなるだろうと思ってたけど…まぁ偶然が重なって、色々あって無事に帰ってこれたんでしょう。良かったじゃないの」

「へぇ~。おめでと。ひひっ」

何で半笑い?

酷い…。ルレイア殿も酷いと思ってたけど、アリューシャ殿はもっと酷い。

昨日の、『解放戦線』の仲間達との再会が眩しい。あれは夢だったのだろうか。

「でも、どうして帰ってこられたの?交渉は罠だったんじゃないの?」

派手なオレンジ色のキャンディを舐めながら、シュノ殿が尋ねた。

「交渉は…罠でした。祖国に帰るなり、憲兵局に捕らえられて…」

…と、俺はようやく事の次第を話すチャンスを得たのに。

全く聞く気のないルレイア殿は、

「ねぇルルシ~。俺の舌遣い、上手いでしょ?俺とのキスは『良い』って評判なんですよ~。試してみたく…ありません?」

「ない。良いからお前、ルアリスの話聞いてやれよ」

「だって別にどうでも良いですし~…」

「…」

…どうでも良いとまで言われてしまった。

ルレイア殿にとっては、もう死んだものと思ってた人間が、実は生きていたなんて聞かされてもどうでも良いのかもしれないが。

九死に一生を得た身としては、もう少し関心を持ってもらいたいものである。
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