The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
するとルレイア殿は、興味無さそうにぺろり、とキャンディを舐めてから、

「どうせあれでしょ?憲兵局の中に反国家主義者が混じってて、その人に上手いこと逃がしてもらったとか、そういうオチでしょ?」

「…え」

「ほとんど無傷で帰ってきたということはそういうことでしょ。運が良かったですね。全くゴキブリ並みの生命力だ」

「…」

…これには、さすがの俺も言葉が出なかった。

…何で知ってるの?

「その顔を見ると、どうやら図星のようですねぇ」

「は、はい…」

当てずっぽうだったの?

それにしたって、本当に当ててくるとは。凄い。

「お互い危険な橋を渡ったものですねぇ」

「そ、それは…。でも、どうして分かったんですか…?」

そんな…まるで見てきたかのように。

「国外に逃げて革命を起こそうなんて馬鹿がいるんだから、国内で憲兵局を変革させようとする馬鹿がいてもおかしくないでしょう。俺としては後者の馬鹿の方がまだ現実的で賢いと思いますけどね」

ぐうの音も出ないとは、このこと。

何も言い返せなかった。

さすがルレイア殿だ。生き延びた喜びも再会の感動も露と消えていってしまった。

「ルレイア、格好良い…」

見事に推理してみせたルレイア殿を、シュノ殿がきらきらした目で見つめていた。

確かに格好良い。…あんなエロい舌遣いで飴を舐めていなければ。

ルレイア殿にキャンディを食べさせてはいけないことが分かった。

「ま、生きてたんだから御の字じゃないですか。首の皮一枚繋がって良かったですね」

「…はい。ありがとうございます」

とてつもない上から目線だし、感動の欠片もない再会だけど。

ルレイア殿にしては、まともな労いの言葉だと思おう。
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