The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルレイア

──────…ルアリスが生きていたとは、驚きだな。

案外この男、悪運が強いのかもしれない。

もうとっくに死んでるものと思ってたし、別にこいつが生きてようと死んでようと、どうでも良かったのだが。

とりあえず、幽霊って訳でもなさそうだし。

それにしても気になるのは、ルアリスを助けた憲兵局員だ。

国内な不穏分子というのは少なからず何処の国にもいるものだが…箱庭帝国も例外ではなかったようだな。

あまつさえ、のこのこやって来た革命軍のリーダーを逃がすとは。

ばれたら即刻処刑だろうに、危険を冒す馬鹿がいたもんだ。

ルアリスの馬鹿さ加減と良い勝負だが、少なくとも他人の命を巻き込まない辺り、そいつの方がまだ賢いと言える。

まぁ個人的には、憲兵局にいたら甘い蜜を吸えるものを、わざわざ危険を冒してまで正義感を貫くなんて、賢いとは思えないがな。

ルアリスを助けた憲兵局員、余程物好きだと見た。

「で…その、あなたを助けた憲兵局員とやらとは…。協力関係になったんですよね?」

「…そうですね。俺が憲兵局と戦うときに…憲兵局の内部から協力してくれるそうです」

「ふーん…。余計なことをしてくれなきゃ良いんですけどね。憲兵局をぶっ潰すのは、俺なんだから」

勝手に自滅されちゃ、復讐の意味がない。

出来れば自重していてもらいたいのだが?

「にしても、その憲兵局の人、命知らずだね。ルア公逃がしたこと、ばれたら相当ヤバくね?」

と、アリューシャ。

確かにな。

「言い訳はしてるだろうけど…まぁ、ばれたら処刑だろうね」

「ふへっ、命知らず~。アリューシャ他人事で良かった~」

「…それだけ、勇気のある人だということだと思います」

アリューシャに反論するように、ルアリスは意地になってそう言った。

…勇気のある人、ねぇ。

「その人、何者なんです?」

「…」

俺が尋ねると、何故かルアリスは無言だった。

…何故黙る。

「俺も詳しいことは…。あまり踏み込んだ話は出来ませんでしたから」

挙げ句、そう言って逃げた。

お前、よく知りもしない奴に助けられたのかよ。

「とにかく…今後は、その人とも協力することになります。如何せん、向こうは憲兵局なので…頻繁に連絡は取れませんが」

「…」

「それでは…。そろそろ失礼します。ルーシッド殿のところにも挨拶に行こうと思っているので」

「…そーですか」

そりゃどうぞ、お好きに。

「あっ、キャンディ、ありがとうございました…。それでは」

ルアリスは、俺達に一礼して去っていった。

…何しに来たんだ?あいつ。

「…随分と必死でしたねぇ」

ボロを出したくないなら、わざわざ足を運ばずとも、電話の一本でもすれば良いものを。

隠し事をしたいときに、俺の前にのこのこやって来るとは、馬鹿め。

「何がだ?」

怪訝な顔をするルルシーに、俺はにっこりと笑って答えた。

「生きてることを隠したくて必死みたいですよ。…あの子猫ちゃんは」

別に驚くべきことではない。

箱を開けたら、死んだかと思っていた猫が生きていた。

それだけの話だ。
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