The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
もう、何度か経験したことではあるが。

このメンバーが一つの部屋の中に集まるなんて、実はとんでもなく恐ろしいことなのでは?

と、今更思った。

平時なら決して顔を会わせることがないであろうメンバーがここに集まっている。

彼らを繋ぎ合わせたのは、俺なのだ。

ならば、その責任を取らなくては。

俺は一つ深呼吸をして、立ち上がった。

「…『青薔薇解放戦線』は、今月末に、箱庭帝国に攻撃を仕掛けるつもりでいます」

ルーシッド殿も、フランベルジュ殿も、覚悟をしていたはずのセトナ様でさえ、いよいよか、という顔をした。

ルレイア殿とルルシー殿だけが、表情を全く変えなかった。

ある程度…予測していたようだな。

いや、むしろ。

「ようやくですか。待ちくたびれてたところです」

「ルレイア殿、兵站の準備は…」

「もう二ヶ月くらい前から準備万端整えてます。悠長にしてたのはあなたくらいですよ」

…それは頼もしい。

この人が味方だと思うだけで、負ける気がしなくなってくる。

「帝国騎士団だって、こいつらいつまでタダ飯食うつもりだよ、って思ってたところでしょ?丁度良かったですね」

「そんなことは…。それはともかく、帝国騎士団としても、最後まで協力するつもりでいます」

ルレイア殿の軽口を相手にせず、ルーシッド殿が頼もしいことを言ってくれた。

こちらも有り難い。

更に。

「フランベルジュ殿…。憲兵局との戦争で、革命軍側の拠点はティターニア家の領地を使わせて頂きたいのですが…」

「構わない。既に住民の避難も始めている。ただ…くれぐれも、ルティス帝国を戦場にはしないでくれ。あくまで戦場になるのは国境の向こう側だ」

「分かっています」

ルティス帝国を戦場にする訳にはいかない。

これは国同士の戦争ではない。

あくまでも、箱庭帝国の内乱なのだから。

これだけルティス帝国を巻き込んでおきながら、今更ではあるが…これ以上、罪のないルティス帝国民を犠牲にしてはいけない。

「そんなことはどうでも良いんですがね…。確認しておきたいことがあるんですが」

ルレイア殿が、小さく挙手した。

物凄く胡散臭い顔をしていたから、嫌なこと聞かれるんだろうとは思ったが。

本当に嫌なことだった。

「…何ですか?」

「結局、憲兵局員はどうするんです。皆殺しですか。それとも、生け捕りにした後で処刑ですか」

「…」

それだと結局全員皆殺しだよな、って…この場にいた全員が思ったが。

ルレイア殿は大真面目だった。

実際、これは大きな問題だ。以前も議論を交わしたが…。

それについては、俺も考えた。

たくさん考えて…そして、結論を出した。

「…皆殺しになんてしません」

「…この期に及んで、まだ甘いことを…」

「代わりに、大将軍に死んでもらいます」

「…」

誰も殺さずに革命を終わらせることが出来ないなら。

せめて、犠牲を少なくする。

それが、俺の出した結論だった。
< 287 / 791 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop