The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルアリス

──────…まさか、憲兵局の大将軍がカセイ殿とそんな会話をしていたなんて、俺はそのとき、知るよしもなかった。

知らなくて正解だった。

知っていたら…戦場に行くことを、躊躇ってしまっていただろうから。

それより俺はその頃、迫る全面対決に酷く緊張していた。

緊張しないはずがない。

ルレイア殿なら、革命の前夜だろうと何だろうと、リラックスして鼻唄混じりに爪の手入れに夢中なのかもしれないが。

俺は彼の十分の一ほどの度胸もないので、こうして必死に息を整えているのだ。

案の定ろくすっぽ眠れず、まだ夜が明ける前だというのに、俺は部屋を抜け出してきてしまった。

夜明け前の、白んだ空を眺めながら。

俺は、自分が何をしようとしているのか…改めて考えた。

…革命なんて、我ながら大それたことをしようとしているものだ。

かつての伝記の英雄もまた、同じ空を見上げたのだろうか。

革命の前夜、彼は何を思ったのだろう。

…すると。

「こんな時間に外に出られては、身体が冷えますよ」

いきなり話しかけられて、俺はドキッとした。

「セトナ様…」

振り向くと、セトナ様が立っていた。
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