The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「…眠れませんか?緊張しているのですか。ルアリスさん」
「…セトナ様こそ」
「ふふ。お互い様ですね」
良かった。革命前夜に、緊張して眠れない小心者は俺だけではなかった。
「何を考えていたのですか?ルアリスさん」
「…」
どうしよう。言っても良いのかな。
笑われてしまうかもしれないな。
「…今更ですけど、俺、大それたことしようとしてるなぁ…って」
「今更気がついたんですか?」
「本当、今更ですよね…」
今頃になって、自分のやろうとしていることに気づくなんて。
遅いにもほどがある。
父は、草葉の陰で泣いてるだろうな。自分の跡を継いで、憲兵局でキャリアコースに乗る道を自ら捨てて…父の名前を貶めるようなことをして。
あの世で会っても、絶対口を利いてくれないだろう。
でも、何度考えても、俺は。
「…後悔していますか?革命を起こしたこと」
「…いいえ、全く」
きっと何度人生をやり直したとしても。
俺は、同じ選択をしていただろうから。
あの伝記の英雄のように、俺は祖国を救いたい。
無念のうちに死んだ、トミトゥの魂を救いたい。
「じゃあ、逃げ出したいですか?」
「…そうですね。怖いですし、本音を言えば逃げ出したいですけど…。でも、足が動きません」
恐怖からではない。
「立ち向かわなければいけないって思うんです。俺は逃げません。祖国の為に…」
「…そう言ってくれると思っていました。それでこそルアリスさんです」
セトナ様はにっこりと笑って、俺の横に立った。
「取り戻しましょうね、箱庭帝国の平和を…」
「…はい」
俺は、そっと甘えるようにしなだれかかってきたセトナ様の肩に手を回した。
何があっても、俺は革命を完遂する。祖国に平和を取り戻す。セトナ様と共に。
誓いを新たにした、そのとき。
背後から、げふんげふん、と大袈裟な咳払いが聞こえて、俺とセトナ様は飛び上がった。
驚いて振り向くと、そこには。
「…良い雰囲気のところ済みませんね、坊っちゃん」
「ゆ、ユーレイリー…」
犯行現場を目撃した、と言わんばかりのジト目で、ユーレイリーは俺を睨んでいた。
ユーレイリーだけではない。
「あははは!邪魔して済まんのう。ナイスタイミングじゃったぞ、ルアリスよ」
「そ、その…そういうことは…革命の後にした方が良いんじゃないかしら…」
「決戦の前夜に、呑気な男だな。それとも余裕か?頼もしい限りじゃないか」
「万一今日死んじゃったら出来なくなるし…。良いんじゃない?私は誰が誰とくっついても、どうでも良いけど…」
「み、皆…!」
ミルミル、ラシュナ、ヴァルタ、ヴィニアスまで。
見てたのか。というか…聞いていたのか。
いるならいると言ってくれ。
俺もセトナ様も、会話を聞かれていた恥ずかしさで、お互いそっぽを向いて俯いた。
セトナ様なんか、顔が真っ赤だった。
まぁ…俺も多分、人のことは言えないのだろうけど…。
ルレイア殿が見ていたら、けっ、と馬鹿にするところだっただろう。
「…セトナ様こそ」
「ふふ。お互い様ですね」
良かった。革命前夜に、緊張して眠れない小心者は俺だけではなかった。
「何を考えていたのですか?ルアリスさん」
「…」
どうしよう。言っても良いのかな。
笑われてしまうかもしれないな。
「…今更ですけど、俺、大それたことしようとしてるなぁ…って」
「今更気がついたんですか?」
「本当、今更ですよね…」
今頃になって、自分のやろうとしていることに気づくなんて。
遅いにもほどがある。
父は、草葉の陰で泣いてるだろうな。自分の跡を継いで、憲兵局でキャリアコースに乗る道を自ら捨てて…父の名前を貶めるようなことをして。
あの世で会っても、絶対口を利いてくれないだろう。
でも、何度考えても、俺は。
「…後悔していますか?革命を起こしたこと」
「…いいえ、全く」
きっと何度人生をやり直したとしても。
俺は、同じ選択をしていただろうから。
あの伝記の英雄のように、俺は祖国を救いたい。
無念のうちに死んだ、トミトゥの魂を救いたい。
「じゃあ、逃げ出したいですか?」
「…そうですね。怖いですし、本音を言えば逃げ出したいですけど…。でも、足が動きません」
恐怖からではない。
「立ち向かわなければいけないって思うんです。俺は逃げません。祖国の為に…」
「…そう言ってくれると思っていました。それでこそルアリスさんです」
セトナ様はにっこりと笑って、俺の横に立った。
「取り戻しましょうね、箱庭帝国の平和を…」
「…はい」
俺は、そっと甘えるようにしなだれかかってきたセトナ様の肩に手を回した。
何があっても、俺は革命を完遂する。祖国に平和を取り戻す。セトナ様と共に。
誓いを新たにした、そのとき。
背後から、げふんげふん、と大袈裟な咳払いが聞こえて、俺とセトナ様は飛び上がった。
驚いて振り向くと、そこには。
「…良い雰囲気のところ済みませんね、坊っちゃん」
「ゆ、ユーレイリー…」
犯行現場を目撃した、と言わんばかりのジト目で、ユーレイリーは俺を睨んでいた。
ユーレイリーだけではない。
「あははは!邪魔して済まんのう。ナイスタイミングじゃったぞ、ルアリスよ」
「そ、その…そういうことは…革命の後にした方が良いんじゃないかしら…」
「決戦の前夜に、呑気な男だな。それとも余裕か?頼もしい限りじゃないか」
「万一今日死んじゃったら出来なくなるし…。良いんじゃない?私は誰が誰とくっついても、どうでも良いけど…」
「み、皆…!」
ミルミル、ラシュナ、ヴァルタ、ヴィニアスまで。
見てたのか。というか…聞いていたのか。
いるならいると言ってくれ。
俺もセトナ様も、会話を聞かれていた恥ずかしさで、お互いそっぽを向いて俯いた。
セトナ様なんか、顔が真っ赤だった。
まぁ…俺も多分、人のことは言えないのだろうけど…。
ルレイア殿が見ていたら、けっ、と馬鹿にするところだっただろう。