The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルレイア

──────…大変良いお話で、結構なことだが。

戦争って、そんなに綺麗なもんじゃないぞ?

と、いうことをルアリスが学ぶのはいつ頃になるやら。

今頃危機感を感じてるんだろうが、そんなことは俺にはどうでも良い。

俺の目的は、憲兵局の奴らをぶっ潰すこと。

そしてようやく、それが叶う日が来たのだ。

「…はぁ~…」

刀身にべったりとついた血を払い除ける。

さっき替えたばかりなのに、もう切れ味か悪くなってきて、困る。

また誰かぶったぎって、武器を略奪するとしよう。

「ルルシー、俺今ので何人目ですかね」

震えながら襲いかかってきた、猿みたいな箱庭帝国軍人を一薙ぎで黙らせ、俺は後ろのルルシーに声をかけた。

俺の視界外の敵を一掃してくれているルルシーは、呆れたように答えた。

「お前のハーレムの全会員数を越えたくらいだろ」

「わぁい。ピー百人突破ですね。この倍くらい斬りたい」

そうでもしなきゃ、腹の虫が収まらないというものだ。

ようやく俺も、本調子になってきたところだ。

「にしても切れ味が悪い。新しい武器が欲しいですね~。…あ、薙刀発見」

誰が使っていたものなのか、戦場に置き去りにされた、まだ新しそうな薙刀。

珍しい武器が落ちてるもんだな。箱庭帝国軍人の武器管理はどうなってるんだ?

「俺、薙刀使えますかね。使い方知らないんですが」

「使ったことのない武器を使うなよ」

「うーん」

拾い上げて、くるりと回してみる。うん…なんか行けそうな気がする。

昔取った杵柄、って奴だ。

「とりあえず使ってみます。箱庭帝国の軍隊って、拍子抜けするほど弱いですし」

「…全くだな」

これには、ルルシーも同意であった。

箱庭帝国を守る憲兵局直属部隊は、初期の『青薔薇解放戦線』と大して変わらない雑魚っぷりだった。

皆及び腰なのだ。数も少ないし、武器も旧式のものが大半。おまけにそのなけなしの武器も粗悪品ばかりなようで、銃はしょっちゅう弾詰まりを起こしてるわ、照準もめちゃくちゃだわで、まるでお話にならなかった。

一方、俺達『青薔薇解放戦線』側の武器は、どれも『青薔薇連合会』お墨付きの優良品。

更にはルルシーの部下が、アシスファルトからお安く、かつ高性能の武器をたっぷり送ってくれた為、武器弾薬には全く事欠かない。

何より、箱庭帝国の兵士には、戦意が感じられないのだ。

初めての戦場にびびっているのが丸分かり。逃げたいけど逃げたら背後から撃たれるから、仕方なく戦ってる…振りをしている、だけ。

挙げ句、俺の姿を見るなり悲鳴をあげて逃げ出そうとする者が続出。

今だって、新武器・薙刀の切れ味を試そうと、手近な敵に襲いかかってみたら、俺の顔を見るなり恐怖に顔をひきつらせて逃げていった。

あーあ。
< 302 / 791 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop