The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルアリス

──────…俺は、ルレイア殿の背中を眺めながら…口許に滲んだ血を拭った。

…割と本気で殴ったな、あの人。

それだけ俺に、腹を立てたのだろう。

人質がいても、お構い無し…か。

さすがはマフィア、と言ったところか。

俺も…覚悟を決めなければならない、ということなのだろう。

悔やむのなら、始めからマフィアなんて味方にするべきじゃなかった。

毒を飲んだとしても、祖国を救いたい。

そう決めたんじゃなかったのか。俺は。

ならば、それを貫くべきだ。

「坊っちゃん、大丈夫ですか」

ユーレイリーが、俺を心配して駆け寄ってきた。

「あぁ…大丈夫だ」

「人質は…どうしますか。この様子だと、帝都の一般市民の大半を人質にしていると思われますが…」

「…俺達も行く。ルレイア殿だけに…戦わせる訳にはいかない」

「…人質が殺されても?」

「…」

人質を救えるのなら、それに越したことはない。

でも、それが出来ないのなら。

「逆だ、ユーレイリー…。俺達は、一人でも多くの民を救う為に戦うんだ。出来るだけ…人質を解放しよう」

解放する前に殺されてしまう者に対しては…謝ることも出来ない。

全員救えないとしても、救えるだけは救おう。

「急ぐんだ。一人でも、多くの人質を救うんだ」

「はい」

ルレイア殿一人だけに、戦わせる訳にはいかない。

俺は俺のやり方で…革命を完遂するのだ。
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