The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
無責任。

そう…無責任なのだ。この人は。

「正しい国家を作るのは、俺達じゃなくて…他でもない、あなたの仕事だったはずです。それなのに…どうして、他人任せにしていたんですか」

俺達が現れるまで、何年でも何十年でも、ずっと待っているだけのつもりだったんだろう?

自分ではない「誰か」が、立ち上がるのをずっと待っていた。

待っているだけで…自分は現状に甘んじるつもりだったのだ。

あまつさえこの人は、憲兵局のやり方が間違っていると知りながら…全てを革命軍に任せて、自分は何もしなかった。

何も出来ないと決めつけて、英雄が現れるのをただ待っていた。

彼なら…変えることが出来たかもしれないのに。

「間違っていることに気づきながら、何もせずにただ待っているだけなんて…!自分には出来ない?現体制を変えられない?そんなのただの言い訳です!どんなに難しくても、不可能に近くても…それが国の為だと信じるなら、行動を起こすべきじゃないんですか!それが…あなたの責任じゃないんですか!」

「その通りです、ルアリスさん…。初めて意見が合いましたね」

ルレイア殿が、俺の隣に歩み出た。

「出来る出来ないじゃない。あなたにはその責任がある…。あなたがそんな偉そうな戯れ言を言いながらふんぞり返っている間にも、憲兵局の悪政のせいで…罪もない人が死んだんですよ。…まぁ、俺が言えた義理じゃないですけどね」

「…」

ディルク殿は、ルレイア殿をじっと見つめた。

ルレイア殿の死神モードが解除されていて良かった。

そうでなければ、大将軍は問答無用でルレイア殿の手にかかっていたことだろう。
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