The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
俺はディルク殿の手に、手錠をかけた。

全く抵抗しなかったから、楽なものだった。

さっきまで戦ってた雑兵の方が、余程厄介なくらいに。

これが…俺の革命の、巻引きか。

案外…呆気ないものだった。

達成感も満足感も、それほどでもなかった。

そうか…終わったのか。

払われた犠牲は…無駄じゃなかったん…だよ、な?

俺のやったことは…間違いじゃなかったんだよな…?

「…」

それはきっと…これから、答えを出すのだ。

これからの未来で。

「…一緒に来てください。あなたには色々聞きたいこともありますから」

「あぁ」

ディルク殿を連れて、俺は執務室を出ることにした。

まずは…地下の監禁室に入ってもらおう。

でも、それほど長い時間ではないはずだ。

本人も分かってると思うけど…彼を生かすという選択肢はないから。

どんなに善人だろうと…悪人だろうと…彼には責任がある。

だから…これで、終わりにする。

彼の死によって…革命を完遂するのだ。

待ちに待った瞬間が、すぐそこに迫っている。

ここから、俺が…俺達が…この国の未来を、作っていくのだ。

新しい…平和な未来を。









歩き出したそのとき、執務室のデスクの影から…鈍い色をした拳銃の銃口が、俺に向けられた。

「祖国の裏切り者め…!死ね!」




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