The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルレイア

───────…ぶっちゃけ、俺はルアリスが生きようと死のうと、どっちでも良かった。

いや…いっそ死んだ方が、面白いかなとさえ思っていた。

だから、そこに明確な殺意を持った人間が潜んでいたことに気づいていても、何も言わなかった。

だって、暗殺者の目的は俺じゃないことは分かってたし。

俺とルルシーが死ぬんじゃないなら、誰が何処でくたばろうと、知ったことではない。

勝手に死ねば良いと思っていた。

それなのに。

俺は俺の意思に反して、身体を動かしていた。

ルアリスに向けて放たれた弾丸を、俺は片手で一刀両断していた。

誰の目にも止まらないほどの速さで。

普段見慣れているルルシーでさえ、目で追えたかどうか怪しい。

素人のルアリスやセトナは、ただぽかんとしていた。

こいつらは、そこに暗殺者が潜んでいたことさえ知らなかったに違いない。

お前、あと少しで殺されるところだったんだぞ。

多分、ディルクでさえ気づいていなかったんじゃないかな。

「…ったく、あなたは詰めが甘い。ルアリスさん…。お家に帰るまでが革命、って…小学生のとき教わりませんでした?」

まぁ、俺も教わってないけど?

渾身の弾丸を、寸でのところで俺に止められた憐れな暗殺者は、拳銃を構えて唖然としていた。

まぁ今のは…普通、当たるよなぁ。

「…相手が悪かったですね」

丁度メインディッシュを…ルルシーを傷つけやがった糞組織のリーダーを…ルアリスに横取りされて、むかむかしていたところだったし。

…こいつで我慢するか。

暗殺者がようやく正気に戻り、二発目を構えようとする前に。

俺は左手の剣を、暗殺者に思いっきりぶん投げた。

渾身の力で投げられた剣は、心臓部分を貫通して、暗殺者の遥か後ろの壁に突き刺さった。

…クリーンヒット。

目を剥いてその場に倒れる暗殺者を見て、ルアリスは呆然としていた。

俺も呆然としたい気分だよ。

何だってこんなアホ、助けてしまったんだか。

死んでも面白かっただろうになぁ。

どうにも俺は…こいつを他人だと思えなくて困る。

あぁ、嫌だ嫌だ。

「る、ルレイア殿…」

「あなたとの協力関係もここまでですね…。メインディッシュを食べ損ねたのは残念ですが、それは後で、代わりにルルシーをぺろっと食べるとして…」

「おい」

何言ってる、とルルシーが抗議したが、まぁ聞こえないことにして。

「あなたの作る、新しい箱庭帝国の未来とやら…期待していますよ、ルアリス」

「は、はい…!ありがとうございます、ルレイア殿…」

「俺の名を借りながら手に入れた平和です…。みすみす失わせるようなことがあれば、地の果てまで追っていって、あなたを殺します。良いですね?」

「っ…。肝に、銘じます…」

それなら宜しい。

じゃ…これで本当に、終わりだな。

「さぁ、帰りましょうかルルシー…。俺達の祖国に」

「あぁ」

ルルシーの復讐も遂げたことだし。

こんな辛気臭い国とは、さっさとおさらばするとしよう。
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