The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「ようやく…帰ってこられたな、フューニャ」

「はい」

フューニャは、嬉しそうに頷いた。可愛い。

ここ最近のフューニャは、随分顔色が良くなった。

革命が無事成功に終わり、彼女の祖国もようやく、憲兵局の支配から解放された。

聞いたところによると、フューニャの仲間達も無事であるらしい。

旧友達に早く会わせてやりたいのだが、残念ながら箱庭帝国はまだ、革命後の不安定な社会情勢の為、入国規制がかかっている。

フューニャは現在ルティス帝国の国籍なので、箱庭帝国に渡航することは難しい。

でも、いずれは入国規制も解除され、自由に箱庭帝国に入国出来るはずだ。

そのときを、今から楽しみにしているに違いない。

そうなったら、いの一番に彼女を里帰りさせてあげよう。

その前に、今は俺の故郷である、ルティス帝国に戻ってきた。

久々に自宅マンションに戻り、鍵を開けて中に入る。

うん、懐かしい。

「ただいま」

昔は、住むところなんか何処でも良いと思ってたのになぁ。

今は、ここが自分の家、って感じがする。

俺と、フューニャの家だ。

「帰ったらすぐに掃除しなくちゃと思ってましたけど…。意外に綺麗ですね」

「あぁ…。たまに清掃に入ってもらってたからな」

埃が積もっていない程度には、綺麗だ。

帰ったら汚部屋になってました、なんて悲しいもんな。

「でも、細かいところはやっぱり汚れてますね…。すぐに掃除します。ルヴィアさん、荷物を片付けてください」

「あぁ。でもその前に…俺はちょっと、本部に顔を出してくるよ。ルルシーさんに挨拶してこないと」

フューニャと共にアシスファルトに亡命出来たのも、こうして無事にルティス帝国に戻ってこられたのも…全て、ルルシーさんのお陰だからな。

感謝の意を伝えてこなくては。

「それから…フューニャ、今度の休みは、ジュエリーショップを回ろう」

「え?」

「今度の休みに、指輪…買いに行こうって、約束してただろ?」

随分と…遅くなってしまったけど。

今度こそ、約束を果たさせて欲しい。

「ルヴィアさん…」

フューニャは一瞬泣きそうな顔になって、それからぽふ、と俺に抱きついてきた。可愛い。

「私は…別に、嬉しくなんてありません」

「はいはい」

ぐりぐりと甘えるフューニャの髪を、優しく撫でながら。

無事に戻ってくることが出来て良かった、と…改めて思った。
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