The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
良かった…。これで呪いの人形を作らずに済むな。

「それで…どんなプレゼントが良いかな?フューニャ、どう思う?」

「男性へのプレゼントですからね…。なかなか難しいですね。ご本人には聞いてないんですか?」

「聞いても…要らない、気を遣うな、しか言わないから…ルルシーさん」

別に、気を遣ってるつもりはないんだけどな。

純粋に…この間の亡命の件と、それから日頃の感謝を伝えたいだけだ。

「そうですね…。彼には既に旦那さんがいますからね。下手なプレゼントをして…旦那さんを不快にさせたくはありませんし」

「だよな…」

ただの部下に過ぎない俺が、下手に豪華なプレゼントをしたら…ルレイアさんも面白くないだろうし。

気を遣ったプレゼントでないと。

「何が良いだろう…。身に付けるものは重いかな?」

アクセサリーは論外だよな。恋人じゃないんだから。ルレイアさんに殺されてしまう。

許されるセーフラインは…腕時計とか、ネクタイピン辺りか?

いや…ルレイアさん的には、ぎりぎりアウトかな…。

「食べ物の方が良いのかな?甘いものとか…」

「ルルシーさんって、甘いもの好きなんですか?」

「…そうでもないかも」

フューニャは甘いもの好きだけど…。ルルシーさんはそうでもないと思う。

「なら甘いものはやめた方が良いですね。…お酒はどうですか?あの人、お酒は飲まれるんです?」

「飲むけど…。お酒はちょっと高過ぎると思う」

値段が。

ルルシーさんの嗜むお酒は、そんなに安物ではない。

だからもしお酒をプレゼントするなら、それなりの値段にはなるだろう。

俺は別にいくら出しても構わないのだが…。あんまり高いものだと、ルルシーさんが怒ると思うんだよな。

気を遣うな、と。

不相応なほどに高価なものを渡してしまうと…逆に気を遣わせてしまうかもしれない。

「あんまり高いもの渡すと、ルルシーさんに怒られそうな気がする」

かといって、安物渡すのも失礼だしな。

「そうですか…。なら、少しお高いお摘まみを渡しては?」

「あ、成程…」

それなら良いかも。

お酒ほど値段も高くないし、これルレイアさんとどうぞ、って言えば…そんなに気を遣わせずに済む。

ちょっとお高めのチーズとか、テリーヌとか、お土産用に売ってるようなものがいくらでもある。

「それ良いかも。ありがとう、フューニャ」

「いいえ」

フューニャは、ぽふ、と俺に抱きついた。

「…私は貞淑で控えめな良い妻なので、夫が他人にプレゼントを渡すのを聞いても、焼き餅を焼いたりしないんです」

「…」

俺は苦笑しながら、フューニャの髪を撫でた。

全く、可愛くてどうにかなってしまいそうだ。

明日、フューニャへのお土産にケーキでも買って帰ろう。
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