The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「…ルレイア」

「はい、ルルシー」

「…何なんだこれは」

「見ての通りですよ。うふふ」

うふふじゃねぇよ。

何笑ってんだ。

『ルレイアと一日デート券』。

それが、ルレイアのくれたプレゼントだった。

…これも、高い値段で売れそうだなぁ。

見てみろ。シュノが「良いなぁ…」って呟いてる。

これ、俺使わずにシュノの誕生日にプレゼントすれば喜ばれるのでは?

「さぁルルシー、俺とデートしましょう。一日俺を好きにして良いですよ。何なら…人には言えない『あんなこと』や『そんなこと』をしてくれても…」

「誰がするか」

何が嬉しくて、ルレイアと丸一日デートしなきゃならんのだ。

嫌だよ。

するとルレイア、またしても卑怯なことに、シュノに泣きついた。

「酷い!えーんシュノさん、ルルシーが酷いんです~」

「ルルシー!乙女のプレゼントを拒否するなんて酷いと思うわ!私だって一日デート券欲しいのに!」

「…」

良ければ…あげようか?俺、要らないし…。

「そうだぞルル公!むぐむぐ。ルレ公とのデート券なんておめぇ、欲しがる奴がルティス帝国に、むぐ。何人いると思ってんだ!」

マドレーヌ食いながら喋るな、アリューシャ。

すると案の定。

「むぐむぐ。感謝してルレ公とデート、むはっ。げほっ。えほっ」

マドレーヌが気管に入ったのか、噎せるアリューシャ。馬鹿。

「ほらほら、アリューシャ。口の中に物を入れたまま喋っちゃ駄目でしょ」

「げほっ。る、ルル公!飲み物くれ!げふっ」

自分で持ってこいよ。何で俺が。

と思っていたら、アリューシャの専属保護者、アイズがペットボトルの水を差し出した。

「アリューシャ、私の飲みかけで良ければあげるよ」

「くれー!」

アイズの水をくぴっ、くぴっ、と飲んで、アリューシャはふひぃ~とか言っていた。本当馬鹿。

おんぶに抱っこだな、あいつ。アイズがいて良かった。

「ねぇルルシ~。俺とデートしましょうよ~」

ルレイアが、気持ち悪い猫なで声ですり寄ってきた。

デートしましょうよ、じゃないよ。

「ねぇ、アシュトーリアさん。ルルシーと良いですよね?デートしても」

「勿論よ。夫婦といえども、たまには恋人気分でデートしたい時もあるわよね」

「そうですよね~。さすがアシュトーリアさん、分かってる!」

何を?

ってか、いつの間に夫婦になってんの?は?

「何ならこの後お休みをあげるから、今すぐデートしてきても良いわよ。やっぱり誕生日当日にデートしたいでしょ?」

なんて、アシュトーリアさんはとんでもないことを言い出した。

ちょっと、何言ってるんですか。

こんな魅惑の申し出に、ルレイアが飛び付かないはずがない。

「本当ですか!じゃあ今すぐ行ってきます!さぁルルシー、上司命令ですよ。俺と一日デートしましょう!」

「ふざけんなルレイア。別に命令された訳じゃ」

「それじゃ皆さん。俺はルルシーと誕生日デートに行ってくるので、お達者で」

ルレイアは強引に俺の手を掴み、強制的に連行した。

ちょ、この野郎。

なんとかこの強引なルレイアを止めて欲しいのに、

「気を付けてね~、二人共」

アシュトーリアさんは微笑ましげに手を振るし。

「クッキー食べながら待ってるよ」

アイズはアリューシャと共に、しれっと菓子食べてるし。

「お土産よろ!」

さっきまで噎せてたアリューシャは、厚かましくもお土産要求。

そしてシュノは。

「ルレイアとデート…。良いなぁ、私のぶんまで楽しんできてね、ルルシー」

「…」

…そんな風に言われたら、嫌です!とか言えないじゃん。

「うふふ。ルルシーと一日デート~♪」

「…はぁ…」

何で誕生日に、こんな目に遭わなくてはならないのか。
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