The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルルシー

─────…『青薔薇連合会』本部にて。

ルレイアとの一日デートから戻り、俺は仕事の続きに勤しんでいた。

夜はルレイアとカラオケ行く約束してしまったし、今のうちに少しでも終わらせておかなくては。

そう思って、せっせと手を動かしていたのだが。

そこに。

「失礼します、ルルシーさん」

「ん?…ルヴィアか」

俺の右腕であるルヴィアが、部屋を訪ねてきた。

彼がルティス帝国に戻ってきてからというもの、とても仕事が捗る。

やはり有能な部下は手元に置いておきたいものだな。

「ルヴィア…。こっちに戻ってきてから、どうだ?調子は」

「えぇ、とても良いです」

そうか、それは良かった。

「うちの嫁、帰ってきてから随分顔色が良くなって…。凄く可愛いんです。あっ、前から可愛かったですけど」

…ん?

嫁の話はしてないんだけど?

え?調子ってそういうこと?俺はお前の調子はどうか、って聞いたんだが?

それなのに、ルヴィアはお構い無しで惚気を語り始めた。

「昨日もですね、キッチンにゴキブリが出たんですけど…。俺が『退治してあげるよ』って言ったのに、フューニャ、『私のキッチンに侵入する不埒者は、私が退治します』って言って、キッチンに魔法陣書いて呪文唱えてました。凄く格好良かったです。その後フューニャが『私はやり遂げました』ってドヤ顔してるのがまた可愛くて…」

「う、うん…」

クランチェスカ家では、随分独特なゴキブリ退治をしているようだ。

それ、ちゃんと退治出来てるの?

殺虫剤使えよ。何で魔法陣?

それはともかく、惚気はやめてくれ。

「それで…?何か用か?」

「あっ、はい…。ルルシーさん、今日誕生日なんですよね」

「え?うん…」

ん?これはまさか。

「これ…つまらないものですけど」

「お前まで…」

ルヴィアは、白い紙袋を差し出してきた。

ったく、こいつは。

「気を遣うなって言っただろう」

部下にプレゼントタカるつもりはなかったのに。

律儀なことしやがって。

「本当にささやかなものですから。気にしないでください」

「…ありがとう。一応受け取っておくけど…もうこれっきりにしてくれよ」

ルヴィアまで誕生日プレゼントなんて、くれる必要はないのだ。

大体お前、ゴマをするまでもなく優秀だからな?

「嫁が選んでくれたんですよ。良ければ、ルレイアさんとどうぞ」

「あ、うん…」

ってかこれ…中身何なの?

今のところ、要らないものもらった率の方が高いのだが?

しかもアシュトーリアさんからもらったお菓子、帰ったら全部アリューシャに食われてたし。

「それじゃ、失礼します」

「あぁ」

ルヴィアが去ってから、俺は恐る恐る紙袋の中身を覗いた。

中には、ワインのアテになりそうな、気の利いたおつまみが入っていた。

…ルヴィア。あいつ…。

「…」

まともなプレゼントって…良いもんだなぁ。

俺は、心からそう思った。
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