The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
その夜。

「やっぱり、ルルシーのご飯は美味しいですねぇ」

「そうだね」

「…ふぃ~…」

その晩も、俺とアイズ、そしてアリューシャは、ルルシーのお家に夕飯を食べに来ていた。

やっぱりルルシーご飯じゃないとね。

いつもはシュノさんも一緒にいるはずなのだが、残念ながら今日はシュノさんは不在だ。

アシュトーリアさんと女子会、なのだそうだ。

良いなぁ。俺も女子だったら女子会出来るのに。

そんな訳で、今日は俺、ルルシー、アイズ、アリューシャの四人だけ。

食器を片付けながら、ルルシーは顔をしかめて俺達に小言を言った。

「来るのは良いけど、お前らな。いい加減に、いい加減に食費を…」

「ところでアイズ。アリューシャは大丈夫ですか?」

「うーん…。あんまり大丈夫じゃないねぇ」

「ふぃ~…」

さっきから、アリューシャが随分と大人しい。

ずっとふぃ~って言ってる。

「ほら、アリューシャ。しっかりして。大丈夫?」

「ふぃ~…」

駄目っぽい。

顔が赤いし、呂律も回ってない。

明らかに、酔っているご様子。

お酒でも飲んだの?と思われそうだが…実は、飲んでない。

「ルルシー、悪いんだけど、今度からビーフシチューに赤ワイン使うのやめてあげてね。アリューシャ、酔っ払っちゃうんだよ」

「…シチューに入れた程度の赤ワインで酔うなよ…」

煮込んでるから、アルコールはほとんど飛んでるはずなんだけどね。

弱いんだなぁ、アリューシャ。

「困ったね。ほら、アリューシャ。そろそろ帰るよ」

アイズがアリューシャに肩を貸して、なんとか立たせようとするも。

「ふぃ~…」

アリューシャは、完全に頭の中がお花畑になっているようで。

全然立ててない。

「全く、アリューシャったら…。これじゃあ歩いて帰れないよ」

「あ、それならうちの下僕を迎えに寄越しますよ」

俺はコートのポケットからスマホを取り出し、エリュシアに連絡を入れた。

すぐ来い、と。

「良いの?そうしたらルレイアが歩いて帰らなきゃならなくなるけど」

「別に大丈夫ですよ」

大した距離がある訳でもないし。

タクシーを呼んでも良いけど、エリュシアの方がお手軽だし。

「何なら俺、今晩はルルシーん家にお泊まりしようかな~」

「帰れ」

「もー、ルルシーったらいけず~」

でも、そんなところが大好き。

じゃ、俺は歩いて帰るとするかな。

「ほらアリューシャ。ルレイアの下僕さんが迎えに来てくれるから。帰るよ」

「ふぃ~…」

「全く…。これは私、今晩はアリューシャの家に泊まらなきゃ駄目かな」

ぶつぶつ言いながら、アイズはアリューシャに肩を貸して、ルルシー宅を出ていった。

アイズって、優しいなぁ。

「…俺もルルシーの家にお泊まりしたいなぁ~」

ちらっ、とルルシーを見たが。

「か・え・れ。俺は忙しいんだ」

「ひど~い…」

そんな、邪魔者みたいに言わなくても。

まぁ、あれだよ。ルルシーは照れ屋さんだから。

素直に甘えられないんだ。可愛い。

「じゃあ帰りますね。お休みなさいルルシー」

「あぁ。お休み」

あぁ、ルルシーと離れるの寂しい。

「寂しくて眠れなかったら、いつでも俺を呼んでくれて良いんですよ…?」

「はよ帰れ」

うふふ。やっぱり照れ屋さん。

じゃあ、今日はもう帰ろう。

で、明日またルルシーとじゃれて遊ぼう。

そう決めて、俺は鼻唄混じりにルルシー宅を後にした。
< 351 / 791 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop