The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルレイア

──────…。

「…ふふ」

…やってくれるじゃないか。

閃光弾で隙を見せても、さっきまでのナイフで斬りかかってくるなら…対処出来たものを。

ここで新たに、拳銃なんて素敵な得物を見せてくれるとは。

これには、俺も脱帽である。

俺はじっとりと血が滲む脇腹を手で押さえた。

咄嗟に急所は外したものの…。

こんな怪我するの、いつ以来かな。

…ん?もしかして初めて?

それより気になるのは…彼が一体、何を考えているのかということだ。

「…あなた、本当に何者なんです?」

どうやら、仲良くなれそうな身の上っぽいのだけど。

良ければ今ここで…話してもらいたいものだ。

痛いので、出来るだけ手短に。

しかし、彼はやはり答えず。

用は済んだとばかりに、くるりと踵を返した。

「…お前の実力は分かった。また会うことになるだろう」

なんて、格好良い台詞を残して、そのまま駆け出していった。

うふふ…。フラれてしまった、か?

いやいや、そう決めつけるにはまだ早い。

だって、彼は言ったじゃないか。

また会うことになる、ってね。

「…また会えるのかぁ…。楽しみですね」

じゃあ俺は、そのときを楽しみに待つとしようかな。

「…っ…」

ドサッ、と地面に膝を着いた。

結構痛いな、これ…。さっきまでめちゃくちゃ興奮していたから、ほとんど痛みを感じなかったけど…。

全くこんな怪我をして、ルルシーがまた心配してしまうではないか…と思っていたら。

「ルレイア!」

件のルルシーが、血相を変えて俺に駆け寄ってきた。

どうやら、俺のヘルプは届いていたようだ。

さすがルルシー。俺の救世主だ。

「ルレイアっ…。しっかりしろ!」

「うふふ…。ルルシー」

ルルシーは情熱的に俺を抱き寄せてくれた。

「しっかりしろ、ルレイア…!一体、誰にやられたんだ?」

「あぁ…ルルシー。俺は…惚れてしまいましたよ。あの子…殺しちゃ駄目ですよ?ルルシー」

「は…?」

あの実力は、本物だ。

まさかあんな風に、俺を楽しませてくれる人がいるなんて。

「是非…また会いたいですね」

「ルレイア、何言って…。…ルレイア!おい!」

「…」

「しっかりしろ!ルレイア!」

ルルシーの顔を見たからだろうか。それともこの世で最も安心する、ルルシーの腕の中にいるからだろうか?

いや、単純に血がなくなってるからなんだろうけど。

ロマンティックだから、前者にしておこう。

急速に遠退く意識の中で、俺はずっとルルシーの声を聞いてきた。
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