The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
地下室を出た俺は、その足でルレイアが入院している病院に向かった。

ルレイアのいる病室には、ルレイアの熱烈なハーレム会員が12人ほど、甲斐甲斐しくルレイアに寄り添っていた。

…これでも減ったんだぞ。初日は40人だったから。

しかもそれから続々と増えそうな勢いだったので、拝み込んで撤収してもらった。

残ったのがこの12人の精鋭達。彼女達をまとめるのが、ルレイアのナンバーワン下僕、エリュシアだ。

気の毒な女性達だ、と思うが…彼女達は自分を不幸だなどとは思っていない。皆ルレイアの世話を出来ることを喜んでおり、目を爛々とさせてお世話している。

「…ルレイアはどうだ?まだ起きないか」

「はい」

俺の問いかけに、エリュシアが答えた。

そうか…。まだ起きないか。

何で…起きないんだろうな。

「…悪いんだが、ちょっと…ルレイアと二人きりにさせてくれるか?」

俺がそう頼むと、ハーレム会員達は全員さっ、と立ち上がり、いそいそと病室の外に出ていった。

てっきり、お断りします、と言われると思ったのだが。

いやに素直だな。何かあったのか?

…まぁ良いか。出ていってくれたんだし。

「…ルレイア」

俺はベッドサイドの椅子に腰掛け、ルレイアの額にそっと手を乗せた。

…なんだか、思い出すなぁ。

ルレイアが…精神科病院に入院していた頃のこと。

思い出したくない…嫌な思い出だ。

あのときのことを、嫌でも思い出してしまう。

あのときも俺は、不安で一杯だった。ルレイアがいつ治るのか、そもそも本当に治るのか…不安でならなかった。

今も同じだ。ルレイアがいつ目覚めるのか…本当に目覚めてくれるのか、不安だった。

医者が言うには、もういつ意識を取り戻してもおかしくない…いや、意識を取り戻していなければおかしい、ということだったが。

…それなのに、どうして起きてくれないんだ?

…お前はそんなに、簡単にくたばる人間じゃないだろ。

ましてや…俺を置いて。

「…勝手に死ぬなよ、ルレイア」

そんなことしたら…俺は一生、お前を恨むからな。

死んでからも、話してやらないから。

俺はルレイアの髪を撫でながら、苦しげな声を絞り出した。

「…起きてくれよ。デートでもキスでも、何でもしてやるから…。頼むから、目を覚ましてくれ」

「…聞きましたね?皆さん」

……………………。

…………は?
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