The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
…で、それは良いのだけど。

冷静に考えたら、感動してる場合ではないのでは?

「…お前ふざけんなよ。起きてたんなら素直に起きろ」

ハーレム会員達が妙に大人しかったのは、それだな?

俺にさっきの台詞を言わせるまで、狸寝入りしてるつもりだった訳だな?

「え~?だってー」

だって、だと?

俺はルレイアのほっぺたを摘まみ、捻りあげた。

「いてててて!ルルシーDV!DVですよ!」

「何がDVだ。この性悪男」

「さっきまでの優しさは何処に消えたんですかぁ!」

さっきまでは、だって、お前が目を覚ましてないものと思ってたから。

起きてるんなら話は別だ。起きろよ。

「でも良いです。だってルルシーがとうとう俺と結婚してくれるって約束を…」

「してねぇ」

「何でもしてくれるって言ったじゃないですか」

…そりゃ言ったけど。

それは…だからさ、さっきまでお前が目を覚ましてないと思ってたから…。

…起きてたら言わないよ。そんなこと。

「キスもデートもえっちも結婚もしてくれるって言ったじゃないですか!」

「そこまで言ってねぇ!」

話を盛るな。後ろ二つは言ってないぞ。

「とにかくっ…。身体は大丈夫なのか?傷は」

俺は強引に話を引き戻した。

状況ってものを考えろ。こんなところで仲良く戯れている場合ではないだろ。今は。

「別に大丈夫ですよ…。向こうも急所は外してくれてますし」

「…外した?奴が外したのか…?お前が避けたんじゃなくて?」

「俺も反射的に避けましたけど。避けなくても最初から外してくれるつもりだったんでしょう。始めから殺気の欠片もなかったですからね、彼。お陰で尾行に気づくのも遅かったんですよ」

…何だって?

あいつ…襲ったのはルレイアの実力を確かめる為、とか何とか言っていたが…。

…本当に、ルレイアを殺すつもりはなかったのか。

成程、おかしいと思ったのだ。死神モードではなかったとはいえ、何でルレイアがみすみす暗殺者に一方的に傷つけられたのか。

その理由は簡単。

ルニキスに、殺気がなかったからだ。

殺気を逸早く察知し、敵意を剥き出しにしてくる相手なら、ルレイアだって油断しなかったはず。

でもルニキスは、ルレイアを殺すつもりはなかった。

殺気も全く出していなかった。だからルレイアも気づくのが遅れたのだ。

…そういうことだったのか。

「それで?あの彼、元気ですか?殺してないですよね?」

「…殺してないよ。自分から出頭してきたから…監禁室に閉じ込めてる。傷つけてもいない…あんまり」

精々、俺がぶん殴ったくらいだ。

捕虜を傷つけるなと、部下にも厳命してある。

「…ルレイア。あいつを殺すなと言ったのは何故だ?」

俺は、ずっと気になっていたことをルレイアに尋ねた。
< 371 / 791 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop