The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
『青薔薇連合会』、帝国騎士団その他、立場の違う様々な人々に助けられて革命が無事成功し。

俺は、箱庭帝国の再興に奮闘する毎日を送っていた。

憲兵局を倒したとはいえ、問題はまだまだ山積みだ。

箱庭帝国に新しい基盤を作り、国民達の新しい生活を保証するのは並大抵のことではなかった。

けれども、革命をやっていた頃よりは、余程やり甲斐があった。

箱庭帝国に、ようやく夜明けがやって来た。

今はまだ国内も不安定であるが、少しずつ回復してきている。

このまま国内が安定すれば、そろそろ渡航規制も解除して良いだろう、とルーシッド殿も言ってくれた。

少なくとも、年内には。

それもこれも、俺達『青薔薇解放戦線』に協力してくれた皆のお陰だ。

そして、その日。

俺の恩人の一人、ルレイア殿が…暗殺者に襲われたという知らせを聞いた。

「そんな…!ルレイア殿が、どうして…。ルレイア殿は無事なのか?」

「幸い…命に別状はないそうですが…」

「そうか…」

それは…良かった。

ルレイア殿は、俺にとって命の恩人も同然なのだ。

彼は俺のことなんて何とも思っちゃいないだろうし、もう名前すら忘れているかもしれないが…それでも俺は、受けた恩を忘れるつもりはない。

ルレイア殿が俺を助けてくれたように、ルレイア殿が困っていることがあれば、助けに行く。

…しかし。

「…あのルレイア・ティシェリーに怪我を負わせるなど…一体何者なんだ?」

内政を手伝ってくれているカセイ殿が、怪訝そうな顔をしてそう呟いた。

…俺も、同じ疑問を抱いていた。

「あの」ルレイア殿だぞ?

死神と化して襲い掛かってきたあのルレイア殿の姿。

俺は今でも、徹夜明けに夢に見ることがある。

あんな死神を、傷つけることが出来る人間がこの世にいるなんて。

…それ、本当に人間か?

目には目を、歯には歯を、死神には死神を…そういうことなのか。

「…何か、良くないトラブルにでも巻き込まれているんだろうか」

そうでなければ、ルレイア殿が怪我させられるなんて有り得ない。

出来ることなら、俺も何か…協力してあげたいところだが。

敵の正体も分からず…遠く離れたルティス帝国にいるルレイア殿に、何をしてあげらると言うのだ?

「…今の私達に出来ることは、早く国内を安定させることだけだ」

「…そうだな」

せめて…見舞いの品だけでも送らせてもらおう。

薄情なようだが…今の俺に出来るのは、残念ながらそのくらいだった。
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