The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
プロローグ
side?
かつて英雄と呼ばれたその人は、その英雄的行いを何の為に為し遂げたのだろうか。
英雄としての名誉が欲しかった?
後の時代に自分の名前を遺したかった?
それとも、それを行うことこそが正義であると信じたから?
…違う。
そのどれもが間違いである。英雄が英雄になったのは、決して、他の誰かの為ではなかった。
英雄を動かしたのは、たった一つの感情であった。
いつの世も、どんな時代でも、人を天使にもすれば悪魔にもする、美しくも恐ろしい感情。
それこそが、愛である。
英雄はただ愛の為、英雄になった。
では、もう一人の彼はどうだろう。
彼もまた、愛の為に生きた。しかし彼は…愛の為に、英雄とは程遠い存在になった。
そのどちらが、正しい生き方だったのか。
正しさなど何処にもない。守るべき正義もない。
そこにあるのは、ただ美しく、そして恐ろしい愛だけである。