The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「さぁ、ルルシーはどの子にします?ルルシーは俺の本命なので、お持ち帰りはNGですが。お触りくらいならOKですよ」

そういうところでちょっと寛容になるな。

持ち帰らないし。触りもしないから。

一応、俺は顔写真一覧のパネルに目を通した。

さっきルリシヤが選んだ女の子の顔写真には、SOLDの文字が。

売れましたじゃねぇよ馬鹿。

言っちゃ悪いが…どの子も同じ顔に見える。

皆美人ではあるけどさ…。何て言うか…。

美人過ぎて、逆に気圧されるんだよな…。

「…別にどの子でも良いよ」

「そうですか?まぁ、うちの嬢はどれも俺仕込みなので、品質は保証しますよ」

品質って何だよ。

あぁ、駄目だ。頭が痛い。

俺はさ、向いてないんだよそういうの。俺も俺の部下も。

ルヴィアだってそうだろ?自分の嫁以外は全く興味がないの。

「なら、俺が選んであげますよ。俺が手塩にかけて育てた選りすぐりの女を四人ほど」

「…四人も要らねぇ」

両手に花どころじゃない。両手足に花じゃねぇか。

人間、そんなに花は持てません。

「そうですか?じゃあ三人?二人にします?」

「…一人で」

二人も三人もいたら、どっち向いて喋ったら良いのか分からなくなる。

何より、俺のキャパが持たない。

「分かりました。じゃあここで一番人気の嬢…は、さっきルリシヤが持っていっちゃってるので。お目が高いですね彼は。ならルルシーには、ここで二番目に人気の嬢を紹介しましょう」

「…そりゃどうも」

別に良いよ。何番人気でも。

何なら一番人気のない子でも構わない。

むしろそのくらいの方が、自然に話せるのではないかと思う。

と言ってもなぁ…ルレイア仕込みと来たら、レベルが低いはずがないし…。

とか思っていると、ルレイアが指名した二番人気の子とやらが、にこやかにやって来た。

「こんにちは、初めまして」

「あ、ど、ども…」

写真でも充分に綺麗だったけど、実物はもっと綺麗だった。

長い黒髪をアップにまとめ、上品な黒いロングドレスをまとった彼女は、いかにも夜のお仕事の人という雰囲気だったが、しかし下品なところは全くなかった。

むしろ、とても気品のある女性に見えた。

この辺りは…ルレイアの「躾」とやらの賜物なんだと思う。

怖っ。

「この人、俺のルルシーなので。サービスしてあげてください」

「畏まりました。ご主人様」

ぺこりと一礼して、その女の子は俺の腕に自分の手を絡めた。

ぞわっ、とした。

「さぁ、座りましょうか。旦那様」

「え、あ、え。はい…」

「あ、ルルシー。分かってると思いますけど、くれぐれも本気にはならないように。その子の首が飛びますからね」

ギロッ、と睨むルレイアに、俺は寒気を覚えた。

なら、こんな店連れてくるなよ。

誰が本気になんかなるか。この子の首が飛ぶだけじゃ済まんだろ。

危うく俺の首まで持っていかれるよ。
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