The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「…ふんっ。憐れんで頂かなくて結構よ。言っておくけど、へくちゅっ。私はあなたのことなんて信用してないから。あなたが腹の中で何を、へくちゅっ。企んでるかなんて、分かってるんだからね!へくちゅっ」

「…」

「…へくちゅっ」

連日に渡る夜間の張り込みで、身体の免疫が落ちているのか。

それとも、薄着をしてきてしまったせいか。

温かい紅茶を口にしたにも関わらず、身体が冷えきってしまっている。

そんな弱味を見せてたまるものかと思うのに、どうしても。

「へくちゅっ」

ずずっ、と鼻を啜って、ルリシヤを睨み付ける。

ルリシヤは、しばし無言で私を見つめた後。

「…家まで送ろうか?」

そんな提案をしてきた。

「何でよ?」

「体調悪そうだから」

「別に平気よ。あなたに憐れ、へくちゅっ。憐れまれる謂れはないわ」

「…」

「大体、私が目を離したら、良からぬことをするつもりでしょう。へっ…くちゅっ。分かってるんだから。ルレイアの目は誤魔化せても、へくちゅっ。私の目はごまか、くちゅんっ、誤魔化せないわよ!」

「…寒くない?ここ」

「寒いに決まってるでしょ!」

さっきから何度もくしゃみしてるのが聞こえないの?

本当。デリカシーがないと言うか何と言うか。

「じゃあ…良かったら、うちに入って、うちの中で監視しないか?外にいたら寒いだろう…」

「え…家の中に入って良いの?へくちっ」

「別に構わない。外にいるよりましだ」

「でも、あなた私を部屋に連れ込んで、くちゅんっ。変なことするつもりじゃないでしょうね」

「そんなことはしない。もしそんなことしたら、俺は幹部の地位を失う。みすみす手離すようなことはしない」

「…」

…確かに。

ルレイア以外の男の人の部屋になんて行きたくはないけど、これはルリシヤのことを探る絶好の機会。

「…良いわ、望むところよ。行ってやろうじゃない!へくちっ」

「うん」

こうして、私はルリシヤの家の中で、彼を一晩監視したのだった。

暖房つけてくれたので、温かかった。
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