The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルルシー

──────…アイズとアリューシャにルリシヤの監視を任せて、二週間ほどたった頃。

俺の執務室に、アイズ、アリューシャ、そしてシュノの三人がやって来た。





「君に言われてしばらくルリシヤを監視してみたけどね、彼、怪しいところは何もなかったよ」

最初に、アイズがそう報告した。

怪しいところがなかった、だと。

アイズ、お前最初からルリシヤを疑っていないだろう。

「…アイズの目から見て、信頼に足る人間だったか?」

「そうだね。信頼しても良いし、頼りにもなると思う」

「…」

…随分と断定的だな。

アイズは『青薔薇連合会』の次期首領。人を見る目は、アシュトーリアさん直々に鍛えられている。

そのアイズが言うのだから、信用しても良いのだろうとは思うが…。

「…アリューシャは?」

「アリューシャは最初っから疑ってねぇもん。狙撃はちょっと上手かったよ。才能があるってのはマジだね」

…そうか。

最初くらいは疑えよ、アリューシャ。

「あのねぇ、ルルシー。気持ちは分かるけど、もう少し信用してあげようよ。ルレイアが信用した人間だよ?君も少しは信じてあげなきゃ」

「…」

…そりゃ、そうだけどさ。

俺だってそうしたいのは山々だ。

でも、理屈じゃないんだよ。

ルリシヤを見てると…血を流して倒れていたルレイアの姿がちらついてしまって。

すると、シュノがこんなことを言い始めた。

「私も…ちょっと信用して良いのかなって、昨日…思ったわ」

え?何だって?

シュノは俺と同じ立場だと思っていた。ルリシヤのことなんて絶対信用出来ないと。

そのシュノが、どうしていきなり心変わりを?

「私…ここ何日かずっと、ルリシヤのことを尾行して、監視してたんだけだ」

「…」

…そんなことしてたのか?シュノ。

それ、ばれるだろ。

「昨日の夜、寒いだろって言って、紅茶くれた。それから部屋にあげてくれて、部屋で監視して良いよって…暖房つけてくれたの」

「…」

…シュノ、お前それ…馬鹿にされたのでは?

ルリシヤもルリシヤだ。自分を監視している人間に差し入れして、部屋にまであげてやるなんて。

「変なこともされなかったし、毛布も貸してくれたわ。朝御飯も作ってくれたし。ちょっと良い人なのかなって思った…。勿論、ルレイアほどじゃないけどね」

「…そうか」

監視員相手に大盤振る舞いだな、ルリシヤ。

それにしても、シュノまでもが…ルリシヤに対する認識を改めつつある。

俺も…いい加減、改めるべきなのだろうか?
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