The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideフューニャ

─────…ある日。

ルヴィアさんの留守中に、我が家に郵便が届いた。

驚いたことに、私宛だった。

この家に来る郵便物は、大抵がルヴィアさんの名前で来るのだが。

何かと思って開けてみると、私の親友であるミルミルからの便りであった。

涙が出るほどに嬉しかった。ルヴィアさんから、ミルミル達は無事だとは聞かされていたけど。

でもルヴィアさんはいつも、私を傷つけるようなことは隠そうとするから。

本当に生きているのか、ミルミルは大丈夫なのかと、心の底で心配していたのだ。

ミルミルからの便りには、自分と『青薔薇解放戦線』の皆が無事であるということと、それから皆の近況が記されていた。

それだけではない。

ミルミルの手紙には、飛行機のチケットが同封されていた。

順調に渡航規制が解除されつつあり、ルティス帝国からこちらに来ることも出来るようになったので、会いに来てくれないか、とのことだった。

特別に、ルアリスに頼んでチケットを取ってもらったとか。

私としては、これは願ってもない誘いだった。

あの日、ルティス帝国で別れてからというもの、ミルミルとは一度も会っていない。

積もる話もお互いにあるし、それに…新しく生まれ変わった祖国を、この目で見てみたい気持ちもあった。

ルティス帝国に逃げ、ルティス国籍を取得した私は、既に祖国は捨てたも同然。

でも、やはり故郷は故郷だ。

ミルミルは勿論、『青薔薇解放戦線』の仲間達に…どの面を下げて会いに来たんだと言われるかもしれないが…もう一度会って、ちゃんと謝りたかった。

渡航規制が解除されたのは知っていたが、自由に会いに行けるようになるのはまだまだ先だと思っていた。

ミルミル達に会えるのも、あと何年先になることかと。

でも、すぐに会いに行くことが出来る。

今すぐにでも準備をしたいところだったが、私の心に引っ掛かったのは、ルヴィアさんのことだった。

…ルヴィアさんは、私が故郷に帰省したいって言ったら、怒るだろうか。

勿論、ちゃんと帰ってくるつもりではいる。私はルティス国籍を持つルティス人になっているし、ルヴィアさんの妻なのだから、私の居場所はここだけだ。

だから、行くとしても…数日か、長くても一週間ほどの旅になる。

ルヴィアさんは、私が一週間家を空けることを許してくれるだろうか?

彼は優しいから、きっと「良いよ」と言ってくれるだろうけど…。

主婦が一週間も家を空けるなんてけしからん、と思われるかもしれない。

しかも、チケットはミルミルが送ってくれたものの、向こうでの滞在費はこちら持ちだ。

まだまだ物資不足の箱庭帝国。物価もそこそこ高いだろうし、ミルミルに甘える訳にもいかない。

…となると、やっぱり三日くらいかな。

今夜にでも、ルヴィアさんに頼んでみよう。

駄目だとは言われないと思うけど…もし駄目だって言われたら、残念だけど、諦めるしかない。
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