The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideフューニャ

──────…箱庭帝国までは、長いフライトだった。

機内で退屈しないようにと、空港に来る前にルヴィアさんが本を買ってくれたので、ずっとそれを読んでいた。

それは退屈を紛らせる為ではなく、余計なことを考えない為だった。

…私が。この私が祖国に帰る。

仲間を裏切り、生まれ故郷を捨てて逃げ出したこの私が。

後ろめたさはあった。罪悪感も。

アシスファルト帝国に亡命したときも感じた、あの罪悪感だ。

それに今は、隣にルヴィアさんもいない。

…でも、大丈夫。

私は左手の薬指に嵌めた指輪を、そっと指先でなぞった。

とにかく、生まれ変わった祖国をこの目で見なくては。

そうでなければ私は、何処にも進めない。
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