The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
ミルミルの家は、帝都の街中にあった。

「広い家ではないが、まぁゆっくりしてくれ」

「ありがとう、ミルミル」

確かに、ルティス帝国の基準で言えば…ミルミルの家は、大きくなかった。

でもこの国では、御殿のような家だ。

その後二人で、一緒に夕食を食べた。

あの美味しくない箱庭帝国の郷土料理ではない。

ルアリスは革命の後、ルティス帝国風の食文化を箱庭帝国に導入したそうだ。

食料の輸入もルティス帝国に頼っているので、自然と食事はルティス風になる。

ルティス産の食料なだけあって、味もなかなかのものだった。

まさかこの国で、こんなに美味しいものが食べられるなんて。

食べながら、私はミルミルとたくさんお喋りした。

革命のこと、革命が終わった後のことも、たくさん。

そして、話が一段落したとき。

ミルミルが、こう切り出した。

「そうじゃ、フューシャ。明日は『青薔薇委員会』の本部に出掛けるぞ。そなたが帰ってくると聞いて、ルアリスも会いたがっていてな」

「…!」

ルアリスが、私に?

…正直なところ、ルアリスにはあまり会いたくなかった。

と言うより、会わせる顔がないと思っていた。

私は…ルアリスを裏切って、一人で逃げたのだから。

「心配するな。ルアリスはそなたのことを恨んではおらぬ。妾と同じようにな」

私の内心を悟って、ミルミルが励ましてくれた。

「うん…大丈夫」

逃げるつもりはなかった。ルアリスがもし、私に恨み節をぶつけるつもりなら…私は、それを受け止めなくてはならない。

それが、私の責任なのだから。

「…」

私が俯いてしまったのを見て、ミルミルは、

「…ところでフューシャよ。そなた…旦那とはどうなのじゃ?」

話題を変えるように、今度はそんなことを聞いた。
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