The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
…え?旦那?

ルヴィアさんのこと?

「どうって…?」

「仲良くしておるのか。なかなか肝の据わった男じゃったが」

確かに、肝の据わった人だ。最初に会ったときからそうだった。

さすが、『青薔薇連合会』の準幹部である。

「それは…まぁ、仲良くしてるわ」

ルヴィアさん。今頃どうしているだろうか。

夕食はちゃんと食べたんだろうか?

「私がいなくて、困ってないと良いけど…」

「困る?」

「だってあの人…。私がいなかったら、平気で食事を抜くし…。掃除だって適当だし…。朝もうっかり寝過ごすし…」

あぁ、やっぱり心配になってきた。

「飢えたりしてないかしら…」

自分で何とかするとは言っていたけど…。ちゃんと食べているのだろうか?

するとミルミルは、けらけらと声をたてて笑った。

「何がおかしいの?」

私は別に、ふざけてるつもりなんかなかったのに。

「いや、済まん済まん。あの頑固者が、随分丸くなったものじゃと思ってな」

「頑固者…」

それはもしかして、私のことなのか?

「頑固者じゃったろう。自分は男なんて絶対に好きにならない、口癖のように言っていたではないか」

「…それは…」

…確かに、言っていた。

思い出して、過去の自分が恥ずかしくなった。

「男なんてろくな奴がいない、とも言っていたのう。それが何じゃ、今では旦那のことが好き過ぎて、早速ホームシックか?」

「…」

私はむー、と口を尖らせてそっぽを向いた。

ミルミルの、意地悪。

ルヴィアさんは…ルヴィアさんは別なのだ。あの人は男だけど…でも良い人だから。

ルヴィアさんがいなかったら、私は絶対結婚なんてしてなかった。

「まぁまぁ、良いことではないか。それが笑い話になるくらい、平和になったということなんじゃから」

「…ミルミル…」

「そなたが幸せそうで、何よりじゃ。妾も結婚しようかのう…」

…え。

「好きな人…いるの?」

「ふふ、秘密じゃ」

ミルミルは、悪戯っぽく笑った。

私には聞いておいて、それはずるい。

「教えてよ…」

「そなたらの惚気話を、もう少し聞かせてくれたらな」

…やっぱり、意地悪。

前から全然変わってない。相変わらず、ミルミルはミルミルだ。

親友とのそんなやり取りでさえ、私にとってはとても懐かしく、そして楽しいものだった。

その夜、私達は遅くまで二人でお喋りして過ごした。
< 444 / 791 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop