The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
翌日。

私は、ミルミルに連れられて帝都にある『青薔薇委員会』の本部に出掛けた。

その質素な建物を見て、私はただただ驚いてしまった。

憲兵局の本部と比べたら、十分の一ほどしかない。

「…これが、『青薔薇委員会』の本部なの?」

「貧相なものじゃろう?」

ミルミルは、苦笑いで答えた。

「ルアリスの意向なんじゃ。自分達の建物に無駄な金をかけるくらいなら、そのぶん民の為に使いたい、とな」

「ルアリスの…」

…いかにも、彼らしいことだ。

私はほっとした。どうやらルアリスは、『青薔薇委員会』で絶大な権力を得た今も…変わらず、人々のことを思っているらしい。

「さぁ、こっちじゃ」

ミルミルに導かれるまま、私はその建物に足を踏み入れた。

ここに入る資格が、私にあるのかどうかは愚問であった。

すると、

「…フューシャ!」

「…!」

私の姿を見つけて、彼が…ルアリスが、嬉しそうに駆け寄ってきた。

「フューシャ…!久し振りだな。元気だったか?」

出会い頭に殴られたとしても、文句は言えないと思っていた。

しかしルアリスの顔は、ただ再会の喜びに染まっていた。

私に対する怒りは、微塵も感じられなかった。

「あなたも…無事で、良かった」

「あぁ。よく戻ってきてくれたな、フューシャ。ルティス帝国では、君に会う機会はなかったけど…ミルミルに君が無事だったと聞いたときは、本当に安心したよ。ずっとフューシャのことを心配してたんだ」

「…」

「憲兵局に解放されて、自由になった箱庭帝国を…帰ってきた君に見せられることが嬉しいよ」

ルアリスの口調には、少しも嫌みは含まれていなかった。

ただ、お互いに生きて再会出来たことが嬉しい。

それだけだった。

でもだからって、私の罪がそれで許される訳ではない。

その証拠に。

「よく戻ってこられたもんだな。自分だけルティス帝国で安穏と暮らしていた癖に」

ルアリスと一緒に、私を出迎えたヴァルタがそう言った。

…彼女には、そう言われると思っていた。

とてもはっきりと物を言う人だから。
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