The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

「ヴァルタ！そんな言い方はないだろ」

「事実じゃないか。他にどんな言い方がある？」

ルアリスがたしなめるも、ヴァルタは涼しい顔だった。

「良いの、分かってるから…。私が一番よく分かってる。皆には、本当に…申し訳ないと思ってる」

「フューシャ…」

「…ごめんなさい」

あれこれと言い訳したって、私がルティス帝国で、ルヴィアさんのもとでぬくぬくと安全に暮らしていた事実は変わらない。

せめてもの誠意を見せる為に、私は頭を下げた。

すると。

「…ま、立場が逆だったら…私も同じことしてたけどな」

ヴァルタは私をなじったその口で、そんなことを言った。

「そうね。私も…同じことをしてたと思うわ。あなただけでも安全なところに逃げられたのだから、同朋として喜ぶべきだわ」

「結局こっちはこっちで上手く行ったんだし、フューシャもフューシャで上手くやってたんだし、結果オーライなんだから何でも良いんじゃない？」

ラシュナと、ヴィニアスが続けて言った。

皆…。

「坊っちゃんはあなたを一度も責めたりはしませんでした。だから…私もあなたを責めはしません。誰にもそんな権利はないでしょう」

ルアリスの後ろに控えていたユーレイリーまでもが、私にそう言った。

更に、セトナ様が。

「あなたはとても勇気ある選択をしたんです。ルティス帝国で、あなたが自分の幸せを手に入れられたのでしたら…これ以上嬉しいことはありません」

「…」

私は思わず、涙ぐんでしまった。

…皆、私に優し過ぎる。

私はそんなに、優しくされるべき人間じゃないのに。

「フューシャだけでも安全なところに逃げることが出来て、俺は安心したんだ。だから…自分を責めないでくれ。誰も君を恨んではいないから」

ルアリスが、私を慰めるようにそう言ってくれた。

「皆…ごめんなさい…」

「何度も謝るな。ヴィニアスの言う通り、今は皆幸せにやっておる。気にするでない」

ミルミルまで、私の背中を撫でながらそう言うのだから。

私は、余計に泣いてしまった。

自分の罪が、完全に許されたなんて思っていない。

でも、さっきよりずっと…気持ちが楽になった。