The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
sideフューニャ
─────…私が箱庭帝国に里帰りしてから、三週間ほどがたった。
そろそろ、ルヴィアさんへのお土産を買わないといけないな、と思い始めていたところだった。
そんな頃。
私はその日、またミルミルと一緒に『青薔薇委員会』の本部を訪れ、ルアリス達と楽しく談笑していた。
ルアリスもセトナ様も忙しいのに、よく時間を作ってくれる。有り難いことに。
お茶会で飲むお茶は、確かにルティス帝国のそれとは比べ物にならないくらい品質は悪いけど…そんなことは気にならない。
「…それにしても、フューシャがいてくれると…また昔の『青薔薇解放戦線』に戻ったみたいだな」
ルアリスの、その一言に。
私も、他の皆も虚を突かれた。
「確かに…そうじゃな。最初期のメンバーじゃな」
「懐かしいわね」
…確かに、懐かしい。
色々あって、私は皆とは立場が違ってしまったけど…。
「…なぁ、フューシャ。良かったら…このまま、こっちで暮らさないか?」
「…え?」
ルアリスは、唐突に私を誘った。
これには、さすがの私も驚いた。
でも、他の皆は驚いていなかった。
「言おうか言うまいか、悩んでたけど…。やっぱり言う。フューシャ、戻ってこないか?君は箱庭帝国の出身なんだし…」
「それは…。でも、私はもうルティス帝国の国籍を持ってて」
ルヴィアさんの上司さんに、わざわざ国籍を取得してもらったのだ。
確かに、非合法の手段ではあるけど…。
「でも…元々、望んでルティス帝国に逃げた訳じゃないだろ?必要に迫られて、仕方なくそうしただけで…。今はもう、戻ってきても大丈夫だ。君が望むなら、また箱庭帝国の国籍を取得出来るように取り計らうよ」
「…」
「最初に革命を志した、このメンバーで…新しい箱庭帝国を作っていくことが出来たら、これ以上望むことはないと思ったんだけど…どうかな」
ルアリスだけではない。
ミルミルもセトナ様も、他の皆も…是非そうした方が良い、という風に頷いた。
「何度も言ったけど…。俺達はフューシャのことを恨んではいないし、むしろ何年もルティス帝国にいた君だからこそ、分かることもたくさんあると思う。その知識と経験を、新しい箱庭帝国の国作りに生かしてもらえたら、と…思うんだけど」
「ルアリス…」
「どうだろう?帰ってきてくれるつもりはないかな…」
「…」
…悪い申し出ではなかった。
本来私は箱庭帝国の生まれで、仲間も友人も皆箱庭帝国にいる。私は完全にこちら側の人間なのだ。
少し前の私だったら…喜んで、帰ってきていただろう。
…ルヴィアさんと出会う前の、私だったら。
「…ありがとう、ルアリス。その気持ちは嬉しいけど…でも、私はこちらに残るつもりはないわ」
迷う必要すらなかった。
私は、そっと薬指に嵌めた指輪をなぞった。
そろそろ、ルヴィアさんへのお土産を買わないといけないな、と思い始めていたところだった。
そんな頃。
私はその日、またミルミルと一緒に『青薔薇委員会』の本部を訪れ、ルアリス達と楽しく談笑していた。
ルアリスもセトナ様も忙しいのに、よく時間を作ってくれる。有り難いことに。
お茶会で飲むお茶は、確かにルティス帝国のそれとは比べ物にならないくらい品質は悪いけど…そんなことは気にならない。
「…それにしても、フューシャがいてくれると…また昔の『青薔薇解放戦線』に戻ったみたいだな」
ルアリスの、その一言に。
私も、他の皆も虚を突かれた。
「確かに…そうじゃな。最初期のメンバーじゃな」
「懐かしいわね」
…確かに、懐かしい。
色々あって、私は皆とは立場が違ってしまったけど…。
「…なぁ、フューシャ。良かったら…このまま、こっちで暮らさないか?」
「…え?」
ルアリスは、唐突に私を誘った。
これには、さすがの私も驚いた。
でも、他の皆は驚いていなかった。
「言おうか言うまいか、悩んでたけど…。やっぱり言う。フューシャ、戻ってこないか?君は箱庭帝国の出身なんだし…」
「それは…。でも、私はもうルティス帝国の国籍を持ってて」
ルヴィアさんの上司さんに、わざわざ国籍を取得してもらったのだ。
確かに、非合法の手段ではあるけど…。
「でも…元々、望んでルティス帝国に逃げた訳じゃないだろ?必要に迫られて、仕方なくそうしただけで…。今はもう、戻ってきても大丈夫だ。君が望むなら、また箱庭帝国の国籍を取得出来るように取り計らうよ」
「…」
「最初に革命を志した、このメンバーで…新しい箱庭帝国を作っていくことが出来たら、これ以上望むことはないと思ったんだけど…どうかな」
ルアリスだけではない。
ミルミルもセトナ様も、他の皆も…是非そうした方が良い、という風に頷いた。
「何度も言ったけど…。俺達はフューシャのことを恨んではいないし、むしろ何年もルティス帝国にいた君だからこそ、分かることもたくさんあると思う。その知識と経験を、新しい箱庭帝国の国作りに生かしてもらえたら、と…思うんだけど」
「ルアリス…」
「どうだろう?帰ってきてくれるつもりはないかな…」
「…」
…悪い申し出ではなかった。
本来私は箱庭帝国の生まれで、仲間も友人も皆箱庭帝国にいる。私は完全にこちら側の人間なのだ。
少し前の私だったら…喜んで、帰ってきていただろう。
…ルヴィアさんと出会う前の、私だったら。
「…ありがとう、ルアリス。その気持ちは嬉しいけど…でも、私はこちらに残るつもりはないわ」
迷う必要すらなかった。
私は、そっと薬指に嵌めた指輪をなぞった。