The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「もうすぐ一ヶ月じゃないか。そろそろ帰ってくるんだろう?」

「はい…そのはずです」

ルヴィアの顔に、少し希望が戻った。

ルヴィアの嫁が里帰りしてから、もうすぐ一ヶ月。

あと数日したら、帰ってくるはずだ。

その日を指折り数えて、なんとか耐え忍んで…と思っていたら。

「帰ってくる気があるなら、の話ですけどね」

ルレイアが、また余計なことを言った。

余計なことを言うことにかけては、ルティス帝国の代表だな。お前は。

案の定ルヴィアは、死んだ魚の目になってごんっ、とまた机に突っ伏してしまった。

「馬鹿ルレイア。要らんこと言うな」

「♪♪♪~」

鼻歌歌って誤魔化すな。

「うぅ…フューニャ…。帰ってきてくれ…」

「ルヴィア…」

こればかりは…何と言って慰めてやれば良いのか分からないが。

「だ、大丈夫だよ、ルヴィア…。お前達、あんなに仲良しだったんだから…」

クランチェスカ夫妻の惚気話なら、長編ドラマに出来そうなくらいたくさん聞いた。

あれだけ仲の良い夫婦が、そう簡単に別れるものだろうか。

「分かりませんよ~?何せ彼女にとっては生まれ故郷ですからね~。初恋の、ルヴィアさんより格好良い男性と、今頃いちゃいちゃ楽しんでるんじゃ…」

「ばっ…。ルレイア!」

にやにやしながら、何てことを。

他人事だと思って、お前。俺の部下をからかって遊ぶんじゃない。

そして、いつもならこんな茶化しには乗らないはずのルヴィアも、今ばかりは何でも本気にしてしまうようで。

「そ、そんな…。フューニャが…フューニャが、そんな…」

「落ち着けルヴィア。お前の嫁は、夫に黙って不貞を働くような女なのか?」

落ち着いて、よく考えてみるんだ。

お前の嫁は、そんなルレイアみたいなことを平気でする女だったかどうか。

「いえ…。フューニャは…フューニャはそんなことはしません」

そうだろう。俺もそう思う。

何せ、毎日夫の浮気チェックを欠かさない嫁だからな。

自分を棚に上げて、そんな不実なことはすまい。

「そうだろう?だったら、嫁を信じてやって…」

と、俺が頑張って慰めようとしたのに。

俺の隣の、余計なことを言うルティス帝国代表が本領を発揮した。
< 454 / 791 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop