The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「いや~分かりませんよ。そういう俺みたいな真面目そうな人に限って、不倫にドはまりするものですからねぇ。今頃『駄目よ、私には夫が…』『そんなの気にするなよ。どうせそいつはルティス帝国にいるんだから、俺らの邪魔は出来ないよ』とか言って…」

おい馬鹿。何だその無駄にリアリティのある小芝居は。

「る、ルヴィア」

「…!」

ルヴィアは、耐えられないという風にぶるぶると震えていた。

そして、顔面蒼白でこう言った。

「…行く。今すぐ俺も行きます。フューニャに…俺のフューニャに手を出すような不届き者は、俺がこの手で成敗します」

「落ち着けルヴィア。拳銃を持って何処に行くつもりだ」

そもそも箱庭帝国行きの飛行機なんてそう簡単に乗れないぞ。と言おうと思ったが、この様子だと走ってでも行きかねない勢いだった。

本当ルレイア馬鹿。黙ってろよ。

「ま、俺はルルシー一筋なんで、浮気はしませんけどね~」

「…ルレイア。お前は口を開くな」

「え~?だって有り得ない話じゃないでしょう?我々がこうして話している今も、向こうではルヴィアさんの嫁と、見知らぬ男がベッドでうふんあはんと…もごもごもご」

俺はルレイアの口を塞いで、強制的に黙らせた。

ルレイアを連れてくるんじゃなかった。

「ルヴィア、あのな。ルレイアの言うことは気にするな。こいつは適当なことばっかり言って…」

「…ルルシーさん」

「…何だ?」

「気分…悪くなってきたので、今日は帰ります…」

「…」

ルヴィアは暗い顔をして…鞄を持って立ち上がった。

…馬鹿ルレイアのせいで。

「そうか…その…元気を出して…。嫁のこと、信じてやれよ。ルヴィア」

「はい…」

ふらふらと歩き去ってしまった、ルヴィアの背中を見つめながら。

「…この馬鹿っ!」

「ふきゃっ」

とりあえず、ルレイアの後頭部をはたいておいた。
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