The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
注文が届いたので、食べ始めたが。

『青薔薇連合会』の幹部六人が、仲良くラーメンを啜る光景は…見る人が見れば、なかなかシュールだったろう。

他のお客さんも、まさかここでラーメン食ってる六人がマフィア幹部だとは思うまいな。

と言うか、充分不審者か。

黒ずくめ、ゴスロリドレス、仮面男の三人衆が混じってるし。

しかも。

「アイ公、これ何?綺麗!入れてみよ!」

「あ、アリューシャそれラー油だよ。辛いから入れ過ぎちゃ、」

駄目…とアイズが言う前に、アリューシャは「綺麗だから」という理由で、担々麺の中にどばっ、とラー油を注ぎ込んでいた。

あーあ…本当馬鹿。

そして案の定。

「むぐっ。むーっ!からぁぁっ!」

そりゃそうなるだろ。馬鹿。

「アリューシャはい、水」

アイズが差し出した水を、アリューシャは一気に飲み干した。

「ぷはぁっ、辛い!何これ!詐欺?」

「お前がラー油入れるからだろ…」

店側は何も悪くない。

大体、辛いもの苦手な奴が担々麺頼むんじゃねぇ。

「アリューシャこれ食えん…。無理ぽ…」

「仕方ないねアリューシャは…。ほら、私の味噌ラーメンと交換してあげるから」

「アイ公マジ神。天使」

ったく…アイズはアリューシャに甘過ぎる。

俺だったら、責任持って自分で食え、と言っていたところだな。

「アイズ…お前は辛いの大丈夫なのか?」

「得意ではないけど…まぁ大丈夫」

「そうか…」

保護者だな。お前は完全に。

アイズレンシアはもう少しアリューシャに厳しくても良いと思うんだが…と思っていたら。

「ルレイア、餃子食べる?私の餃子要る?」

「あ、ください」

「うんっ…。はい、あーん」

「むぐ。んー、美味しい」

「美味しい?良かった」

…こっちには、ルレイアを甘やかす奴が一人。

シュノ、嬉しそうだから良いけどさ。

するとルレイアは、自分がチャーハンを食べたレンゲを、満面の笑みで俺に差し出した。

「ルルシー、はい。俺のレンゲ貸してあげるので、これでチャーハンどうぞ」

「…」

…何が嬉しくて、ルレイアの使用済みレンゲを俺が使わなきゃならないんだよ。

いや…別に使えるけど。ルレイアが口つけたペットボトルでも普通に飲めるけどさ。

でもそういうことじゃないんだよ。

「…はぁ」

などと言っていても仕方ない。レンゲは五つしかないんだし。割り箸でチャーハン食べるのも難しいし。

俺はルレイアのレンゲを受け取った。

にやにやしているルレイアの横っ面をぶん殴る代わりに、俺はちらりとルリシヤの方を見た。

ルリシヤは辛口ラーメンに、更にトッピング無料の辛もやしを乗せて、ラー油と七味をぶっかけて、平然と啜っていた。

マジかよこいつ。罰ゲームか何かか。

「ルリシヤ…お前それ、大丈夫なのか?」

スープ、真っ赤になってるけど。

「ん?あぁ」

「辛くないのか」

「ちょっと辛いけど、眠気も覚めるし丁度良い」

「…」

ちょっとどころで済むのか。それ。

アリューシャだったら、悲鳴をあげるレベルでは?

…ますます、ルリシヤが何考えてるか分からない。

何考えてるかは分からないが、辛党であることは分かった。
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