The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルレイア

─────…ルルシーの執務室に戻ってから。

「…シュノさん、大丈夫ですかね?」

「…どうかな」

俺はルルシーと共に、先程のシュノさんのことを話していた。

うーん…。とんでもない奴を見つけてしまったもんだなぁ。

ルティス帝国広しと言えども…まさかシュノさんのご家族とは。

帝国騎士官学校の元教官に会ったのも、凄い偶然だと思ってたけど。

幹部のご母堂にまで会えるとは。

ルティス帝国って、俺が思ってるより狭いのかな。

「…ルレイア、行ってあげた方が良いんじゃないか?」

「任せてと言ってましたし…大丈夫だとは思いますけどね」

「…」

でもやっぱり…心配だなぁ。

シュノさん、俺並みに繊細な人だからな…。

「…ルレイア。やっぱり、行ってあげた方が良いと思う」

「んー?」

ルルシーは、どうしても俺を行かせたいようだ。

「自分の母親を自分で手にかけるのは…シュノには荷が重いんじゃないか。もしかしたら、殺せないと言うかも…」

「いや、それは大丈夫ですよ」

その点に関しては、俺は全く心配しちゃいない。

シュノさんは、そんなに柔な女性じゃない。

普段は、可憐で純真無垢な少女のようにも見えるシュノさんだが、あれで『青薔薇連合会』の幹部なのだ。

ちゃんと、肝は据わっている。

「殺すべきと判断すれば、彼女は躊躇いなく殺しますよ。シュノさんを甘く見ちゃあいけない」

「それは…いつもはそうだが、でも…相手は母親だぞ」

「自分だったらと考えてみてください。ルルシーの母親がもし目の前にいたら、あなた、殺すのを躊躇いますか?」

「…それは…」

…躊躇わないよなぁ。そういうもんだ。

俺だってそう。親の顔なんかもう忘れかけているが、目の前にいたら躊躇いなく殺す。

親子だからって、必ずしも情があると思うなよ。

破綻した親子だっているんだ。俺達のようにな。

「シュノさんも同じですよ。彼女は母親を殺すことを躊躇ったりしません。それに何より…彼女にとって母親は、アシュトーリアさんだけですからね」

その他の人間を、彼女はもう母とは思っていないだろう。

だから、残念だがあの年増女が生き延びる術はない。

死ぬほど謝罪して、罪滅ぼしを誓えば、ワンチャン許してもらえる可能性はあるが…。

ま、そんなドラマみたいな話があるはずもないし。
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