The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルヴィア

──────…俺のもとに連絡が来たのは、フューニャと共にベッドに入って眠りにつき、三時間ほどたった頃だった。

「…ん…」

唐突に携帯が鳴り出して、俺は目を覚ました。

寝ぼけながらもベッドサイドのテーブルをまさぐり、携帯を掴んだ。

「はい…?」

のろのろと起き上がって、携帯を耳元に当てる。

聞こえてきたのは、部下の切羽詰まった声だった。

「…!?」

『青薔薇連合会』の下部組織の一つが、『セント・ニュクス』に襲撃された、と。

その報告を受け、俺は飛び起きた。

一瞬で眠気が吹き飛んだ。

アシュトーリアさんの命のもと、準幹部以上は緊急召集がかかっているとのこと。

「分かった。すぐ行く」

俺は素早く答えて、携帯を切った。

こうしてはいられない。すぐに行かなくては。

「…ルヴィアさん?」

「…フューニャ」

振り向くと、何事かと目を覚ましたフューニャが、身体を起こしてこちらを見つめていた。

「何かあったんですか…?」

フューニャの顔は、不安に染まっていた。

俺の緊張が、フューニャにも伝わってしまっているのだ。

…余計な心配をさせてはいけない。

俺は出来るだけ優しく、言い聞かせるようにフューニャに言った。

「大丈夫だよ。フューニャ」

「お仕事に行くんですか?」

「ちょっとな。でも心配しなくて良い」

「…」

フューニャはベッドから降りて、俺が支度するのを手伝おうとした。

「大丈夫だから、フューニャは寝てて良いよ」

「…ルヴィアさん、ちゃんと帰ってきてくれます?」

不安げな面持ちで、フューニャはそう尋ねた。

その顔を見ると、俺も胸が痛んだ。

…余計な心配させたくないってのに。

「当たり前じゃないか。ちゃんと帰ってくるよ。…帰る前は連絡するから」

「…分かりました。じゃあ、美味しいご飯用意して待ってます」

「あぁ、ありがとう」

俺は無理矢理にでも笑顔を作って、フューニャの頭を撫でてやった。

…この緊急事態だ。いつ帰れるかは分からないけど。

遅くなったとしても、ちゃんと帰ってこよう。俺はそう誓った。
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