The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
sideルリシヤ
─────…俺は、自分の生まれた家のことを思い出した。
ルレイアも貴族の生まれだから、俺がどんな風に育ったのか、ある程度推測出来ることだろう。
…今思い出しても、本当にろくでもない幼少期だった。
俺が生まれたクレマティス家は、ルティス帝国ではそこそこ名の知れた中流貴族だった。
ルレイアの生まれたウィスタリア家とは比べ物にならないが、そこそこ有能な帝国騎士を輩出していた。
…かつては、の話だが。
クレマティス家は一応中流貴族ではあったが、貴族として名声をあげていたのは昔の話だ。
今ではすっかり落ちぶれて、一部では弱小貴族だと笑われている始末だった。
笑われるのも無理はない。
俺が家を出たとき、帝国騎士団に入っていたのは九つ年上の兄だけだった。
その兄だって、何か立派な役職に就いていた訳じゃない。隊長副隊長どころか、ただの平社員ならぬ、平騎士だった。
ここ数十年、クレマティス家はずっとそうだった。
ただの一人として、優秀な騎士を出せなかった。
クレマティス家に生まれた人間は、ほぼ全員が帝国騎士団に入っているのだが…誰も大した実績を残せず、泣かず飛ばずだった。
帝国騎士官学校にさえ、入学出来なかった。
貴族出身の帝国騎士にとっては必須のステータスとも言える、帝国騎士官学校に入れないというのは…貴族としては、大変な恥であった。
クレマティス家が弱小貴族だと笑われているのは、このせいだ。
すっかり落ちぶれて、凡人の平騎士しか出せない貴族なんて、貴族の価値がない。
しかし、そんなクレマティス家にも…一度、将来有望な帝国騎士候補が生まれたことがある。
無能ばかりの兄弟の中で、彼は一人だけ、兄弟達にはない特別な才能を持っていた。
剣の腕も大したものだったし、頭も良かった。
このまま行けば、将来は天下の帝国騎士官学校にも入学出来るだろうと言われていた。
家族中の皆が彼に期待した。クレマティス家の再興が、彼一人にかかっていた。
でも、それは叶わなかった。
彼は帝国騎士官学校の入学試験を受ける前に、訓練中の事故で大怪我をした。
その怪我のせいで、片足に後遺症を負った。
帝国騎士どころか、普段の生活でさえ杖をつかなければ歩けないほどの大怪我だった。
当然、帝国騎士団になんて入れるはずがない。
希望は、一気に絶望に突き落とされた。
家族は皆失望したし、今までずっと彼を押し立てて家を再興しようとしていただけに、面目も丸潰れだった。
一族全員が辛かっただろうが、一番辛いのは、怪我をした彼本人だった。
そして…その怪我をした彼こそが、俺の父親だった。
ルレイアも貴族の生まれだから、俺がどんな風に育ったのか、ある程度推測出来ることだろう。
…今思い出しても、本当にろくでもない幼少期だった。
俺が生まれたクレマティス家は、ルティス帝国ではそこそこ名の知れた中流貴族だった。
ルレイアの生まれたウィスタリア家とは比べ物にならないが、そこそこ有能な帝国騎士を輩出していた。
…かつては、の話だが。
クレマティス家は一応中流貴族ではあったが、貴族として名声をあげていたのは昔の話だ。
今ではすっかり落ちぶれて、一部では弱小貴族だと笑われている始末だった。
笑われるのも無理はない。
俺が家を出たとき、帝国騎士団に入っていたのは九つ年上の兄だけだった。
その兄だって、何か立派な役職に就いていた訳じゃない。隊長副隊長どころか、ただの平社員ならぬ、平騎士だった。
ここ数十年、クレマティス家はずっとそうだった。
ただの一人として、優秀な騎士を出せなかった。
クレマティス家に生まれた人間は、ほぼ全員が帝国騎士団に入っているのだが…誰も大した実績を残せず、泣かず飛ばずだった。
帝国騎士官学校にさえ、入学出来なかった。
貴族出身の帝国騎士にとっては必須のステータスとも言える、帝国騎士官学校に入れないというのは…貴族としては、大変な恥であった。
クレマティス家が弱小貴族だと笑われているのは、このせいだ。
すっかり落ちぶれて、凡人の平騎士しか出せない貴族なんて、貴族の価値がない。
しかし、そんなクレマティス家にも…一度、将来有望な帝国騎士候補が生まれたことがある。
無能ばかりの兄弟の中で、彼は一人だけ、兄弟達にはない特別な才能を持っていた。
剣の腕も大したものだったし、頭も良かった。
このまま行けば、将来は天下の帝国騎士官学校にも入学出来るだろうと言われていた。
家族中の皆が彼に期待した。クレマティス家の再興が、彼一人にかかっていた。
でも、それは叶わなかった。
彼は帝国騎士官学校の入学試験を受ける前に、訓練中の事故で大怪我をした。
その怪我のせいで、片足に後遺症を負った。
帝国騎士どころか、普段の生活でさえ杖をつかなければ歩けないほどの大怪我だった。
当然、帝国騎士団になんて入れるはずがない。
希望は、一気に絶望に突き落とされた。
家族は皆失望したし、今までずっと彼を押し立てて家を再興しようとしていただけに、面目も丸潰れだった。
一族全員が辛かっただろうが、一番辛いのは、怪我をした彼本人だった。
そして…その怪我をした彼こそが、俺の父親だった。