The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
俺の父親は、自分の子供こそ、帝国騎士官学校に入れ、立派な帝国騎士にしようと誓った。

志半ばで夢を絶たれた、自分の代わりにしようと思っていたのだ。

だから、早いうちから結婚して子供を作ろうとしていた。

たくさん作れば、一人二人は優秀なのが生まれるだろう、と考えていたのだ。

ルレイアもそうだが、本当に有能な帝国騎士になるには、努力だけでは足りない。

帝国騎士団の副隊長以上になろうと思ったら、たゆみない努力の他に、やはり生まれついた才能が必要になる。

だからたくさん子供を作ろうとした。例えSSRの輩出率が物凄く低いガチャでも、何十連何百連と回せば、高レアリティもいつかは出てくる。

多分、そういう発想だったのだろう。

でも、ここでも父の目論見は上手く行かなかった。

早くに結婚したのに、父にはなかなか子供が出来なかった。

結婚して五年たっても、一度も子供が出来なくて…憤慨した父は、女が悪いに違いないと、正妻とは別に妾を作った。

妾ならすぐに妊娠するだろうと思いきや、こちらもなかなか子供が出来ない。

ならばと、父は次々に新しい女性に手を出した。自分の子供を生んでくれるなら、誰でも良かったんだと思う。

でもやっぱり子供は出来ない。父は頑なに女性側に問題があると思っていたようだが。

ここまで生まれないとなると、多分問題があったのは父の方。

父は絶対に認めなかったが、いわゆる男性不妊、という奴だったのだと思う。

認めないものだから、治療も出来ない。

父は自分の足に障害があることに酷くコンプレックスを抱いており、足のこと以外に、自分に欠陥があるなんて認めたくなかったのだろう。

でも、そんなことをしている間に、平等に歳は取る。

気がつけば、父は一人も子供が出来ないまま…かなりの歳になってしまっていた。

それが、俺の生まれる五年ほど前のことだ。
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