The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルレイア

────…さて、ここで一時閑話休題。

「…」

ここまでで、既にお腹一杯、って感じだな。

俺も言いたいことは色々あるのだが、とりあえず。

…貴族の家なんて、何処も糞みたいなもんだな。

それがよく分かった。

幸いと言うべきか、ウィスタリア家ではクレマティス家のような家督争いはなかった。

争いが全くなかった訳じゃないけど、我が家の場合は家督の押し付け合いだった。

お前がやれ、いや姉さんがやってくださいよ、みたいな。

姉も俺も、家督なんて要らない主義の人間だったからな。

それは、俺も姉も二人共、負けないくらいに優秀だったからかもしれない。

生まれ持った自分の才能だけで身を立てられるなら、親から譲り受けた家督なんて執着する必要はない。

うちも凡人姉弟だったら、家督争いに躍起になっていたのだろうか。

いや、ウィスタリア家の兄弟が凡人揃いだったとしても、俺が家を継ぐことはないな。

家督相続権、一番下っ端だったし。

ルリシヤの話を聞いていて思い出した。

そういや、俺も兄貴がいるのだ。

ウィスタリア家では次男だった。長男は…名前、何て言うんだっけ?ルアリス?

「…ルルシー、俺も兄貴がいた気がするんですけど、名前何でしたっけ?」

こそっ、とルルシーに聞いてみた。

「ルファディオだろ…。何でお前が忘れて、俺が覚えてるんだよ」

「おぉ、そうだったそうだった…。さすがルルシー。ありがとうございます」

似たような名前が多過ぎて、覚えられないよ。

ウィスタリア家でも、兄貴は空気だったからな。

そう思うと、ウィスタリア家もクレマティス家とそんなに変わらない。

ルファディオは、天才の姉と、同じくらい天才の弟に囲まれて、随分肩身が狭かったことだろう。

もしかしたら、ルファディオもルリシヤの兄のように、俺や姉を憎んでいたのかもしれない。

知らねぇよ。お前が雑魚なのが悪いんだろ。

まぁ、今頃弟がいなくなったから喜んでいることだろう。

いや、まだ俺のことを憎んでいるのだろうか?

雑魚の癖に、貴族としてのプライドは一丁前だったからな。帝国騎士団やめてマフィアに入るなんて、と憤慨しているのかも。

知るか。オルタンスに文句言え。

ルファディオが雑魚なのも、俺が帝国騎士団やめたのも、俺には何の非もないから。

世知辛いもんだな。貴族というのは。

貴族を羨ましがる平民の気が知れない。

平民の方がよっぽど楽だぞ。家の名前がーとか、体裁がーとかの、煩わしい厄介事は少ないし。

職業選択の自由もあるからな。マフィアに入りたかったら、自由にマフィアに入れる。

家督相続争いに巻き込まれることもない。

どうでも良いわ、家督なんて。
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