The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルルシー

───────…最近の俺は、新人が入ってきたときにまず、その新人の性別を聞くことにしている。

性別が男だったなら、ほっと一安心。

当面は大丈夫だろう。

しかしこれが女だったなら、大変だ。

俺はすぐさまその女性を呼びつける。

その女性が年増であれば、問題なし。

あるいは若くても、あんまり美人でない女性だったら、安心だ。

だが。

新人の女性が若くて美人だったら、俺はその場でその新人と交渉する。

帝都の本部勤務じゃなくて、地方の支部に勤務しないかと。

要するに転勤を打診する訳だ。

頼むから、本部以外に転勤してくれと。

それが、君の為だから、と。

新人は首を傾げながらも、了承する。

これで俺はようやく安心出来る訳だ。

いずれその新人も…何故俺が彼女達を本部から逃がしたか、分かるようになる。

何せ本部には…あの悪魔がいるからな。

若くて美人の女の子を見つけようものなら、いつあいつが手を出すか分からない。

隙あらばハーレム会員を増やそうとするからな、あいつは。

だからその前には、俺は彼女達を逃がすことにしたのだ。

その為、この日も俺は…入ってきたばかりの新人が、女性で、しかも若いと聞いて…すぐさま彼女を呼び出した。






「…初めまして。ヴァルタ・エリニアです」

「…」

呼び出しに応じてやって来たその女性を、一目見て。

色んな意味で、あぁ、これは不味いことになったなぁと思った。

…美人とか、そういう次元の問題じゃなくなったな。

「…あの…?」

黙ったままの俺を見て、ヴァルタは困ったような顔をした。

何故自分が呼び出されたのか、と思っているのだろうな。

だってまだ、何も怪しいことはしてないはずなのに。

内心でははらはらしてるのだろうな。気の毒に。

…それにしても、不味い。

彼女は…ヴァルタは…。

…実に、美人だ。

最近奴の好みが分かってきた。あいつはこういう、ちょっと高貴な雰囲気の、高飛車っぽい女性を手込めにして、自分を崇拝させるのが大好きなのだ。

好みのドンピシャじゃないか。これは不味い。

奴の手にかかったら…一時間後には、ぺろりと美味しく食べられている可能性が大。

是非とも守ってやりたいところだが…それどころではないな。

「済まないな、呼びつけてしまって…。ちょっと待ってくれるか?他にも呼びたい奴がいるんだ」

「?はい…」

本当なら、あいつにこんな美人、絶対見せたくないんだが。

だって、餌を与えるようなもんじゃないか。

でも、最早これは…俺一人でどうにか出来る問題ではない。

故に俺は、俺の相棒を部屋に呼んだ。

いきなり呼んだら、多分…告白フラグですね!?とか言って、大騒ぎするんだろうなぁ…と思いながら。
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