The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
実は、と言うほどでもないが。

ルティス帝国は、世界有数の超文明国家である。

従って、化学兵器の類は国際法上、製造はおろか使用なんて絶対禁止。

戦争において、化学兵器を使用しないというのは、お互い言うまでもない大前提なのだ。

サッカーの試合しようねって集まって、金属バットとゴルフクラブ持ち込まれるようなもんだぞ。

サッカーする気ねぇじゃん。撲殺する気満々じゃん。

いかにマフィアと言えど、化学兵器の使用なんて考えもしなかったぞ。

頭おかしいだろあいつら。

チェスの試合に負けそうだから、チェス盤引っくり返す、ならまだ分かる。

あいつら、チェスの試合をやってる部屋ごと爆破しやがったぞ。

俺より頭おかしいって、相当ヤバいから。

「…あなたの元相棒は、堕ちるところまで堕ちたようですね、ルリシヤ」

「…あぁ」

勝つ為となると、もう手段は選ばないってか。

選ばないにも程があるぞ。

「…今回はこちらも一杯食わされましたが、次はもう容赦しません…。向こうが手段を選ばないと言うなら、こちらも容赦なく叩き潰すまでです」

もう油断もしない。徹底的に叩き潰す。

「…つっても、こっちも毒ガス使う訳にはいかんのだろ?」

と、アリューシャ。

「それは当然だよ。化学兵器なんて使用した暁には、私達はルティス帝国から追い出されてしまう」

「んじゃ、『セント・ニュクス』の奴らも追い出されんの?」

「許されはしないよ。化学兵器の製造、使用は国際法違反だ。彼らの問題だけじゃ済まない。国家的な大罪人だよ」

その通り。

帝国騎士団が絡んできてるのもそのせいだ。化学兵器使用の大罪を犯した犯人を、野放しには出来ない。

ちっ、帝国騎士団の奴らがでしゃばってくるなんて不愉快だが、この際仕方ない。

「恐らく彼らはまた使ってくるだろう。こちらも、対策をしないと」

「…ですね」

糞雑魚の集まり、だと思っていたが。

とんだ隠し弾を持っていたものだ。

いずれにせよ、この死神ルレイアに喧嘩を売って、ただで済むと思うなよ。

このお礼は、たっぷりとさせてもらう。
< 545 / 791 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop