The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「アイズ、どうです?手がかりは」
「…なかなか見つからないね」
アイズは溜め息をついた。
ここ連日の徹夜のせいで、アイズの目には隈が出来ていた。
俺も色々ツテを辿って調べちゃいるが、奴ら、ちっとも尻尾を出しやしない。
どうなってんだ、一体。
俺は騙したりたぶらかしたり死神したりといったお仕事は得意なのだが、ちまちまと敵の拠点捜査なんて地味な作業は、どうにも苦手である。
そうまでしても、まだ見つからないとは。
これは…やっぱり、あれだな。
俺達は、敵を侮り過ぎたようだな。
「一応聞いておきます、ルリシヤ。あなたの元親友は、『青薔薇連合会』と帝国騎士団の追跡をこれほど巧みに逃げられる逸材なんですか」
「…俺の知る限りでは、そんなことは出来なかった」
「…ですよねー」
それが出来るほど賢いなら、ルリシヤを捨てるなんてアホなことはしないわな。
ということは、考えられるのは一つ。
「…何かがいるんでしょうねぇ。『セント・ニュクス』に。ルリシヤに代わる、優秀な協力者が」
化学兵器についてグリーシュに入れ知恵したのも、今回『青薔薇連合会』と帝国騎士団の追跡に目眩ましをしているのも。
恐らく、その協力者の仕業だろう。
グリーシュとやらに、そんなことが出来るとは思えん。
「…協力者、か…」
「ルリシヤ、覚えはあります?」
「…ないな。でも…協力者がいてもおかしくはない。俺が『セント・ニュクス』に捨てられる前…グリーシュは俺に内緒で、水面下で色々動いていたようだから…」
…成程ね。
じゃ、ルリシヤが裏切られる前から、その協力者と内通してたんだろうね。
ってか、グリーシュがルリシヤを捨てたのも、その協力者の入れ知恵なのでは?
「あぁ、そうだ…。使用された毒ガスの解析、報告書が届いてるんだよ」
アイズが、手元のファイルから報告書を取り出した。
「あ、どうだったんですか?」
「帝国騎士団を通じて、国内のあらゆる研究機関を調べたけど…。今回使用された毒ガスの製造データは見つからなかった。多分、外国で研究・開発されたものだろうって」
「外国産ですか」
「そういうことだね」
…そりゃまた、奇怪な。
国内で研究されてたものじゃないと。
ってことは…変な言い方だけど、あの化学兵器は『セント・ニュクス』がオリジナルで研究・開発して、自分達で作った自慢の逸品だった訳か。
あいつらの技術力、一体どうなってんの?
さすがにおかしいだろ。
「…訳分かんないですね。中堅マフィアの『セント・ニュクス』に、何でそんなことが出来るんですか?」
しかも、ルリシヤなき『セント・ニュクス』で。
例の協力者が入れ知恵してるにしても。
それで、何でその協力者は『セント・ニュクス』なんかに協力する?
それだけ優秀なら、もっと大きな組織について、高値で化学兵器の情報売り付けるなり、何なら自分達で組織を興した方が確実じゃないか。
…分からんな。
俺は根が優しくて素直な人間だから、悪い奴の考えてることは全然分からないよ。
「…ますます、雲行きが怪しくなってきましたねぇ」
しかも、その数日後。
帝国騎士団から、更に暗いニュースがもたらされた。
「…なかなか見つからないね」
アイズは溜め息をついた。
ここ連日の徹夜のせいで、アイズの目には隈が出来ていた。
俺も色々ツテを辿って調べちゃいるが、奴ら、ちっとも尻尾を出しやしない。
どうなってんだ、一体。
俺は騙したりたぶらかしたり死神したりといったお仕事は得意なのだが、ちまちまと敵の拠点捜査なんて地味な作業は、どうにも苦手である。
そうまでしても、まだ見つからないとは。
これは…やっぱり、あれだな。
俺達は、敵を侮り過ぎたようだな。
「一応聞いておきます、ルリシヤ。あなたの元親友は、『青薔薇連合会』と帝国騎士団の追跡をこれほど巧みに逃げられる逸材なんですか」
「…俺の知る限りでは、そんなことは出来なかった」
「…ですよねー」
それが出来るほど賢いなら、ルリシヤを捨てるなんてアホなことはしないわな。
ということは、考えられるのは一つ。
「…何かがいるんでしょうねぇ。『セント・ニュクス』に。ルリシヤに代わる、優秀な協力者が」
化学兵器についてグリーシュに入れ知恵したのも、今回『青薔薇連合会』と帝国騎士団の追跡に目眩ましをしているのも。
恐らく、その協力者の仕業だろう。
グリーシュとやらに、そんなことが出来るとは思えん。
「…協力者、か…」
「ルリシヤ、覚えはあります?」
「…ないな。でも…協力者がいてもおかしくはない。俺が『セント・ニュクス』に捨てられる前…グリーシュは俺に内緒で、水面下で色々動いていたようだから…」
…成程ね。
じゃ、ルリシヤが裏切られる前から、その協力者と内通してたんだろうね。
ってか、グリーシュがルリシヤを捨てたのも、その協力者の入れ知恵なのでは?
「あぁ、そうだ…。使用された毒ガスの解析、報告書が届いてるんだよ」
アイズが、手元のファイルから報告書を取り出した。
「あ、どうだったんですか?」
「帝国騎士団を通じて、国内のあらゆる研究機関を調べたけど…。今回使用された毒ガスの製造データは見つからなかった。多分、外国で研究・開発されたものだろうって」
「外国産ですか」
「そういうことだね」
…そりゃまた、奇怪な。
国内で研究されてたものじゃないと。
ってことは…変な言い方だけど、あの化学兵器は『セント・ニュクス』がオリジナルで研究・開発して、自分達で作った自慢の逸品だった訳か。
あいつらの技術力、一体どうなってんの?
さすがにおかしいだろ。
「…訳分かんないですね。中堅マフィアの『セント・ニュクス』に、何でそんなことが出来るんですか?」
しかも、ルリシヤなき『セント・ニュクス』で。
例の協力者が入れ知恵してるにしても。
それで、何でその協力者は『セント・ニュクス』なんかに協力する?
それだけ優秀なら、もっと大きな組織について、高値で化学兵器の情報売り付けるなり、何なら自分達で組織を興した方が確実じゃないか。
…分からんな。
俺は根が優しくて素直な人間だから、悪い奴の考えてることは全然分からないよ。
「…ますます、雲行きが怪しくなってきましたねぇ」
しかも、その数日後。
帝国騎士団から、更に暗いニュースがもたらされた。