The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
すると、今度はルルシーが。

「だが、ルレイア…。『敵の想定内から外れる』とお前は言ったが、俺達が『セント・ニュクス』を放置することも、敵の想定内だったら?」

「えぇ、ルルシー…。それも有り得なくはないですね」

考えたくはないが、それすら『セント・ニュクス』の想定内である可能性はある。

押そうが引こうが、何処までも敵の手のひらの上。

そうなるともう、俺達としては動きようがないが。

「そうだとしても、このまま焦り続けるよりはましでしょう。少なくとも…引けば、冷静にはなりますからね。それに…」

「…それに?」

「押そうが、引こうが、戦争をしている限り、何処かで全面対決はしなきゃいけないんです」

こちらから仕掛けるか、向こうから仕掛けるかの違いしかない。

なら、こちらは準備万端整えて、いつ来ても良いように、万全の迎撃体制を整えておけば良い。

いくらこそこそ逃げ回っても、いつかは必ず、俺達の前に出てきて戦わなければならないときが来るのだ。

いつまでも逃げていたんじゃ、戦争は成立しないからな。

なら、わざわざ血眼になって探さなくても…巣穴から出てくるのを、じっと待っていれば良いのでは?

「…成程。理屈は分かるが…実行に移すには、勇気が要るな」

「ですねぇ」

作戦としては、超大胆だもんな。

『青薔薇連合会』だから、こんな策が真剣に審議されてるんだ。

これがもし帝国騎士団だったら、「有り得ない」と一蹴されているはずだ。

正義の帝国騎士団にとっては、「何もしない」ことは作戦でも何でもない。ただの臆病だから。

だから奴らは頭が堅いんだよ。俺みたいに、もっと柔軟にならなきゃ。

まぁ…柔軟になったからって、その作戦が成功しなきゃ意味がないのだが。

「…ルルシー先輩。俺は、ルレイア先輩の意見に賛成だ」

ルリシヤが、そっと挙手してそう意見を述べた。

「何故?」

「こう言ってはなんだが…。グリーシュは、辛抱強いタイプじゃない。もし俺達がルレイア先輩の作戦で、本当に『想定外』に陥ったなら…間違いなく、グリーシュは焦るはずだ」

「…」

「焦ったら、動かずにはいられなくなる。そうなれば…こちらのものだ」

焦って、のこのこと物陰から出てきた『セント・ニュクス』を、待ってましたとばかりに迎え撃てば良い。
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